あなたは非常用の食料を備蓄していますか。
大きな災害が発生すると、救助体制が整うまで3日はかかるといわれています。グルテンフリー・低FODMAPの生活をしていたり、食物アレルギーがあると、避難所で出された配給品が食べられない場合もあります。最近は、コロナウイルス感染症で、自宅療養や宿泊療養を余儀なくされることもありますが、配食サービスでは、グルテンフリーや低FODMAPに配慮してもらえません。いざというときのために、必要最低限の非常食をストックしておきましょう。
非常食を選ぶときのポイント
①備蓄する食料はすべてアレルゲンフリー、グルテンフリー、低FODMAPに
食物アレルギーのある人や、グルテンフリー、低FODMAPの食生活をしている人が周囲にいる場合は、備蓄する食料はすべてアレルゲンフリー、グルテンフリー、低FODMAPにしましょう。
急いでいるときに、いちいち成分表示を確認できませんし、間違えて食べてしまうと、取り返しのつかないことになります。
ところで災害時にいちばん困るのはトイレです。食べもののせいで、お腹が痛くなったり、下痢をするということは、絶対に避けるべきです。ふだんからグルテンフリーや低FODMAPの生活をしている人は、FODMAPを多く含むものは食べてはいけません。配給などでみかんが配られることがよくありますが、フルクトースが多いので食べないほうが無難です。また食物繊維が添加された食品も避けるべきです。便秘もつらいですが、下痢はもっとつらいです。
②量、準備しやすさ、食べやすさを考える
非常食としてストックするものは、ふだん食べないものが多いため、入っている量や、準備のしやすさ、食べやすさがイメージできません。お湯または水で戻すアルファ米でも、ごはんタイプとお粥タイプで、カロリーが3倍くらい違います。時間をかけて戻していざ食べようとしたら、量が少なかった、ということもあります。もし量が多ければ、残せばいいのです。また、手が洗えないことを前提に考えておくべきです。準備に手間がかかる食品は向いていません。さらに食べる際に持ちにくかったり、手が汚れるものも、避けるべきです。1回に食べるのにちょうどよい量で、簡単に準備できて、すぐ食べられるものを選びましょう。
③味もそこそこよく、カロリーと栄養成分が十分で、塩分が少ないものを選ぶ
非常食なので、とりあえず空腹が満たされればよいという考えもありますが、必要なカロリーと栄養成分は摂れるようにしておきましょう。自治体の配給や配食サービスは、緊急対応なので栄養が偏っていても仕方がないのですが、あなたが自分や家族のために非常食をストックするのですから、少し値段が高くても、カロリーも十分で、必要な栄養成分が摂れるものを用意すべきです。
配給によく使われる菓子パンは、手っ取り早く空腹を満たすのにはいいですが、たんぱく質やビタミンがほとんど含まれていません。生鮮野菜が摂れないので、ビタミンをサプリ、ドリンク、ゼリーなどで補いましょう。
また、ストックしてあった非常食を空けたら、口に合わなくて食べられなかったという話はよくあります。一度自分で食べてみるか、ネットなどに載っている情報を参考にしてください。めったに食べないものなので、少々値段が高くても、味は重視すべきです。
それから、あまり言われていないのですが、塩分の摂り過ぎには注意しましょう。災害時はストレスが増えるので、ふだんより血圧が高めになります。そこに塩分が多いものを食べ続けたら、どうなるでしょうか。保存性がよいものは塩分が多めですし、疲れていると味の濃いものを食べたくなります。非常食をストックする段階で、塩分も注意してください。
厚生労働省が出している日本人の食事摂取基準(2020年版)などをもとにした、30~49歳の成人の場合、1日あたりの摂取目安量は、次の通りです。
エネルギー | たんぱく質 | 食塩相当量 | |
---|---|---|---|
男性 | 2,700 kcal | 65 g | 8.0g未満 |
女性 | 2,050 kcal | 50 g | 7.0g未満 |
何をどれくらいストックしておけばよいのか
では具体的に、何をどれだけストックしておけばよいのでしょうか。筆者の阪神・淡路大震災と東日本大震災での経験を踏まえて、考えてみました。
救助体制が整うまでの3日間 | 救助体制が整った後の4日間 | |
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どんな状況 |
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用意しておくべき食料 |
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個人で用意しなくてよいもの | ・アルファ米の白米(おかずが必要) ・レトルト食品(お湯が必要) |
・飲料水(配給される) ・主食のごはん(配給される) |
おすすめできないもの | ・野菜ジュース、オレンジジュースなど高FODMAP食品(お腹が緩くなる) ・チョコレート(気温が高いと溶ける、乳糖を含むものもある) |
救助体制が整うまでの3日間のためにそろえておきたい内容
特定原材料不使用のグルテンフリー・低FODMAP保存食品
必要量 | メモ | |
---|---|---|
飲料水 | 9L(1日3L×3日) | 2L入のものと500ml入のもの両方あると便利。 |
ごはん | 6食(6種類) (1日2回×3日) |
お湯または水を入れるとご飯になるアルファ米が便利。味がついているものがよい。 |
おかず缶 | 6缶(6種類) (1日2回×3日) |
缶切り不要で、冷めていてもおいしくたべられるもの。 |
ようかん | 2箱(1箱5本入り) | 片手で、水なしで食べられ、1本で171kcal。主食にも、おやつにもなる。 |
ライスクッキー | 3箱(1箱8枚入り) | 朝食の代わりにもなる。1箱8枚でごはん1膳と同じカロリー。 |
ビタミンサプリ | 3本 | ビタミンの補給ができる。飲みきりのものがよい。 |
のど飴 | 3本 | 口の中を湿らせる効果もある。持ち運びに便利なスティックタイプがよい。医薬品、指定医薬部外品は症状にあわせて摂るものなので、ここでは除外。 |
歯磨きガム | 2本(1本7個入り) | |
整腸剤 | 避難生活で最も困るのは、腹痛・下痢です。ストレスがかかるので、整腸剤は用意しましょう。ただし下痢をしたとき、下痢止めを飲んではいけません。 | |
使い捨て食器 | 9回分 | 紙皿、紙コップ、割箸各10個 |
救助体制が整った後の4日間のためにそろえておきたい内容
特定原材料不使用のグルテンフリー・低FODMAP保存食品
必要量 | メモ | |
---|---|---|
ごはん、めん類 | 4食(1日1回×4日) | 配給はおにぎり、パン、弁当主体になるが、パンを食べない代わりに、味の付いたごはんやめん類などがあれば嬉しい。ただしめんを作るにはお湯が必要。 |
おかず缶詰め | 8缶(1日2回×4日) | 缶切り不要で、冷めててもおいしくたべられるもの。
ごはん、おにぎりなどは配給されることが多い。 |
ようかん | 2箱(1箱5本入り) | 片手で、水なしで食べられ、1本で171kcal。主食にも、おやつにもなる。 |
ライスクッキー | 4箱(1箱8枚入り) | 配給の菓子類には小麦が入っていることが多いので、はほとんど食べられない。 |
歯磨きガム | 2本(1本7個入り) | |
ビタミンサプリ | 1箱 | 携帯しやすく、FODMAP成分が少ない。水と主食は確保されるので、タブレットタイプがよい。 |
必要に応じて用意するもの
名称 | メモ |
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レトルト食品 インスタント食品 |
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