しょうゆを許容する? しない?

さわ困る
グルテンを抜こうとするとき、一番厄介なのが「しょうゆ」だと思います。いろんな加工食品にしょうゆが使われているので、しょうゆが入っていないものを探すとなると一苦労です。和食ではふつうにしょうゆは使うし…。
実はしょうゆの原料に含まれていたグルテンは、分解されて残っていないんです。だから、ほとんどの方は、避ける必要はないんですよ。

さわ驚く
えっ!?でも、原材料欄には小麦と書いてあるし、食物アレルギーを起こす特定原材料欄にも「小麦」と書いてありますよね?
はい。しょうゆを作る際、小麦を原材料として使っているのは事実です。でも醸造の過程で分解され、うまみ成分となるアミノ酸に変わっているんですよ。
さわ怒る
でもしょうゆの栄養成分表示を見ると、たんぱく質○○gと書いてあるじゃないですか!
栄養成分表示のたんぱく質量は、食品中の窒素量を分析し、その窒素がすべてたんぱく質に由来するものとして算出するルールとなっています。食品中にはたんぱく質以外にも窒素を含む成分が含まれていますが、通常は量が少ないので、これらは無視しています。しょうゆにはたんぱく質は含まれていませんが、このルールに従って、たんぱく量を計算し、表示しているだけなのです。
さわ困る
知らなかった! でも、本当にたんぱく質は残っていないのですか!?(疑いの目)
世界最大のしょうゆメーカーであるキッコーマンのHPにも、分解されて検出できないレベルと書いてあります1)。また、厚生労働科学研究班による「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」にも、醤油の原材料に利用される小麦は、醸造過程で小麦アレルゲンが消失するので、原材料に小麦の表示があっても、(小麦アレルギー患者の食事から)基本的に醤油を除去する必要はない。と記載があります2)

安心しました! これなら、グルテンフリー生活も続けられそうです。

薬剤師Hirataの解説

小麦アレルギー、セリアック病、ノンセリアックグルテン過敏症(NCGS)は、小麦などに含まれるたんぱく質が原因物質といわれています。しょうゆを醸造する過程で、小麦のたんぱく質は分解され、アミノ酸などのうまみ成分に変わっており、たんぱく質としては残っていません。
しかし、アミノ酸にまで完全に分解されず、ポリペプチドの状態で残っている可能性はゼロではありません。一部のポリペプチドが、アレルギー反応や炎症反応を起こすことがわかっています。

FDA(アメリカ食品医薬品局)の見解

小麦を原材料として使用したしょうゆは、グルテンフリーの表示はしてはいけない

アメリカにおけるグルテンフリーの定義は、食品中のグルテン濃度が20ppm未満、となっています。

これを証明するためには、分析して、濃度が20ppm以下であることを示す必要があります。ところが、しょうゆなどの発酵食品では、発酵の過程でたんぱく質が分解されるため、食品中のグルテンの濃度を正確に測定することができません。正確に測定できないなら、グルテンフリーの表示はできない、という考え方です。

小麦アレルギーやセリアック病の患者さんへの影響の有無とは別の話です。なお、FDAは「商品にグルテンフリーと表示してはいけない」と言っているだけで、「摂取してはいけない」と言っているわけではありません。

厚生労働省の食物アレルギーに関する科学研究班の見解

しょうゆにはアレルゲン(たんぱく質およびポリペプチド)が残っていないので、小麦アレルギーの方も避ける必要はない

これは、たんぱく質やグルテンの濃度については触れておらず、アレルギー反応を起こすかどうかで判断しています。もっとも微量のたんぱく質でアレルギー反応が起きる、小麦アレルギーの人が避ける必要がない、ということは、セリアック病とノンセリアックグルテン過敏症(NCGS)の人も大丈夫、ということになります。

薬剤師Hirataの結論

  • グルテンフリー生活で、しょうゆを使っても大丈夫です。
  • 小麦を原料として使わないグルテンフリーしょうゆもありますが、ふつうのしょうゆで大丈夫です。
  • グルテンフリーの意味は、製品1kgあたり20mg未満(すなわち20ppm未満)です。しょうゆをは調味料なので、食品に使われる量はごくわずかです。万が一、ポリペプチドが残っていたとしても、しょうゆそのものの使用量がごく僅かなので、体に入る量は、きわめて微量になります
  • しょうゆを避けるとなると、購入できる食品の種類、食事のレパートリーが、著しく狭くなります。しょうゆのアレルギー表示欄に「小麦」と書くのは、見直したほうがよいと、個人的には考えます。

1) キッコーマンホームページ
https://www.kikkoman.co.jp/customer/faq/bigcategoryf220/index.html

Q. しょうゆはアレルギーへの影響はありますか
A. しょうゆ原料の大豆、小麦は、一部の人にはアレルギー反応を引き起こすものです。ただしその原因となる大豆、小麦のたんぱく質は、醸造中に酵素によって分解されてしまうため、最終製品のしょうゆ中では確認できないレベルとなっています。したがいまして、多くの方には問題ありませんが、最終判断は、かかりつけのお医者様とご相談の上お客様がお決めいただくのがよろしいかと考えております。

2) 厚生労働科学研究班、食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017(2017)

グルテンフリー食品まとめ

小麦粉を置き換えるには、グルテンの役割をカバーするための知識や技術が必要です。メーカーさんの工夫によって製造されている、おすすめのグルテンフリー食材をカテゴリー別にご紹介!