グルテンが少ない料理・食べ物に含まれるグルテン量を推定してみた

グルテンフリーではないけど、グルテンや小麦成分の量が少ない料理や食べ物は、結構あります。小麦アレルギーやセリアック病以外の人は、食べても大丈夫なことが多いのですが、グルテンの含有量がわからないと、食べるか食べないかの判断ができません。
ここではグルテンは含まれているものの、その含有量が少ない定番商品を取り上げ、料理や食べ物に含まれるグルテン量を薬剤師が推定しました。情報は適宜追加していきます。

ミラノ風ドリアのグルテン量はパスタの1/20と少ない

ミラノ風ドリア /サイゼリア 300円(税込み)

(注)写真は、半熟卵ミラノ風ドリアとコールスローサラダ、スープのランチセット

創業からの人気メニュー、ミラノ風ドリア。
ごはんにホワイトソースミートソースをかけて、オーブンで焼いたもので、お店では出来立てのアツアツが食べられますね。

サイゼリアのウェブサイトでは、一食当たりのカロリー(521kcal)と食塩相当量(2.5g)とアレルゲン情報(小麦、卵、乳、大豆、牛肉、鶏肉)が公開されていますが、栄養成分などは公開されていません。そこで、ウェブサイトに載っている一般的なミラノ風ドリアに関する情報をもとに、グルテン量を推定しました。

食品の栄養素が一目でわかるカロリー・Slismというサイトに、一般的なミラノ風ドリアのカロリー、栄養成分、原材料などが載っています。それによると、半熟卵がのったミラノ風ドリアのカロリーが457 kcalとなっていました。半熟卵のカロリー91 kcalを差し引くと366 kcalとなり、サイゼリアの商品の70%となります。そこで、カロリー・Slismで使われている材料の1.4倍の量が、サイゼリアのミラノ風ドリアで使われていると仮定して、計算しました。

ミラノ風ドリアで小麦が使われている材料は、ホワイトソースミートソースと考えられますさきほどのサイトの情報に基づき、いずれも42 gずつ使われていると推定しました。

ホワイトソース100 gには、小麦粉が7 g
ミートソース100 gには、小麦粉が1.7 g
含まれているので、ミラノ風ドリア1食には、小麦粉が
7 × 42 ÷ 100 + 1.7 × 42 ÷ 100 = 3.7 g
使われていると考えられます。

小麦粉(薄力粉)には重量の7.5 %のグルテンが含まれるので、ミラノ風ミートドリアに含まれるグルテンの量は、
3.7 g × 7.5 % = 0.3 g
と推定されました。

パスタのメニューと比べると、約1/20の量です。小麦アレルギーやセリアック病以外の人は、食べても影響が出ないことが多いのではないかと思われます。

牛丼のグルテン量はほぼゼロ、小麦アレルギーでも食べられる場合も

牛丼(並盛) /野家 426円(税込み)

「うまい、やすい、はやい」のキャッチコピーでおなじみの、吉野家の牛丼。

吉野家さんは自社のホームページで、メニューごとに、栄養成分と含まれているアレルギー物質を公開されています。それによると、牛丼に含まれている特定原材料とそれに準ずるものは、
小麦、牛肉、大豆、りんご、ゼラチン
とのこと。

お料理を見たところ、小麦成分は醤油由来ではないかと思われます。そこで、使われているお醤油の量から、含まれる可能性があるグルテンの量を推算してみましょう。

牛丼に含まれる小麦由来成分は醤油

まず、牛丼(並盛)1食の食塩相当量は、2.7 gです。この食塩がすべてしょうゆ(こいくちしょうゆ)に由来すると仮定すると、こいくちしょうゆの使用量は18.6 gになります1)

こいくちしょうゆは大豆とほぼ同量の小麦が原料として使われているもので、日本のしょうゆ生産量の84%を占める、もっとも一般的なおしょうゆです2)。大豆(黄大豆/米国産/乾)100 gに含まれるたんぱく質は、33.0 g、小麦100 gに含まれるたんぱく質は、12.8 gなので、同じ量の大豆と小麦が原料として使われていると仮定すると、しょうゆに含まれるたんぱく質の28 %が小麦由来になります。こいくちしょうゆ100 gに含まれるたんぱく質は7.7 gですが、このうち2.2 gが小麦のたんぱく質です。

牛丼(並盛)1食に使われているこいくちしょうゆは18.6 gなので、小麦に由来するたんぱく質は0.4 gになります。さらに小麦に含まれるたんぱく質の85%がグルテンなので、牛丼(並盛)1食に含まれるグルテン量は0.3 gとなりました(注意:この計算は正しくありません)

醤油に含まれるたんぱく質は分解されて残っていない

上に示した計算は、あくまでひとつの計算例で、牛丼に含まれるグルテンの量はもっともっと少ないと思われます。その理由をご説明します。

しょうゆにはたんぱく質は含まれない!?

しょうゆの原材料である大豆、小麦にはたんぱく質が含まれていますが、発酵過程で分解してアミノ酸に変化しており、しょうゆにはたんぱく質は残っていません3)
でも、しょうゆの栄養成分表示には、たんぱく質○○gと書いてあります。実は食品中のたんぱく質を直接測定することは難しいので、窒素分を測定し、それに係数をかけて表示しているためです。栄養成分表示のとおりに「たんぱく質」が含まれているわけではありません。

グルテンは小麦などに含まれるたんぱく質なので、しょうゆにはグルテンは含まれない可能性が高いといえます。一方で、グルテンフリーの表示要件としては、セリアック病を引き起こすペプチド(たんぱく質の特定のアミノ酸配列)が含まれるかどうかで判断しているため、ふつうのしょうゆは、グルテンフリーという表示はできないことになっています。

食塩はしょうゆ以外の原材料にも含まれる

上の試算では、牛丼に含まれる食品はすべてしょうゆに由来すると仮定しましたが、実際は必ずしもそうではありません。上の試算では、しょうゆの使用量を多めに見積もっています。

小麦のたんぱく量を多めに見積もっている

しょうゆの原料になる小麦は、軟質小麦です。軟質小麦とはたんぱく質含有量が少ない小麦ですが、試算の際には、たんぱく質含有量の多い硬質小麦から作られた全粒粉のたんぱく質量を使っています。これは、軟質小麦から得られる薄力粉の全粒粉のデータがなかったからです。

以上の理由より、上で示した値は、牛丼に含まれる可能性があるグルテン量の理論上の最大値と考えてください。

アレルギー反応を起こすのはたんぱく質、あるいはたんぱく質が部分的に分解してできたペプチドです。おしょうゆの原料に含まれるたんぱく質は、醸造の過程で分解され、うまみ成分であるアミノ酸になるため、残っていないと考えられます。
微量の小麦たんぱくに影響を受ける小麦アレルギーの人でも、おしょうゆは食べても大丈夫といわれています4)。このことから、牛丼に含まれるグルテンの量は、ゼロに近いといえます。

のり弁当の揚げ物の衣のグルテン量は意外と少ない

のり弁当 /ほっともっと 330円(税込み)

お弁当人気ランキングで、つねに上位にあるお弁当です。
ごはんの上に海苔が敷いてあり、さらにその上に、
・白身魚のフライ
・ちくわ天
・ごぼうとにんじんのきんぴら
・たくわん
がのせてあります。

このうち、白身魚のフライ、ちくわ天、きんぴらに小麦成分が含まれている可能性があります。それぞれ見ていきましょう。

  • 白身魚のフライ

実測すると65.5 gでした。
フライ100gに、小麦粉(薄力粉)3.0 g、パン粉6.8 gが使われており5)、薄力粉の7.5%、パン粉の12.0%がグルテンとすると、
フライ65.5 gに含まれるグルテンの量は、
(3.0×0.075+6.8×0.12)×65.5÷100 = 0.68 g

  • ちくわ天

実測すると37.5 gでした。
天ぷら100 gに天ぷら粉が10 g使われており1)、天ぷら粉の7.5%がグルテンとすると、
ちくわ天37.5gに含まれるグルテンの量は、
10×0.075×37.5÷100=0.28 g

  • きんぴら

しょうゆが使われていると思われますが、しょうゆの量もきんぴらの量も少ないので無視します。

のり弁当に含まれるグルテンの量は、
0.68+0.28 = 0.96 gです

ただし、どちらかついてくる「プレミアムソース」と「だし醤油」のグルテン量は含まれません。含まれていても少量と思われます。

から揚げに含まれるグルテン量はやや多め、メーカーによる違いも

からあげくん レギュラー /ローソン 216円(税込み)

ローソンのレジ横にある「からあげクン」。
小腹を満たすのにちょうどいい分量なので、ついつい買ってしまいます。1986年の発売から何と36年目なんだそうです。また、いろんな味の新商品が次々と発売されており、話題は尽きません。

ローソンのウェブサイトには、栄養成分とアレルギー情報が載っています。はっきりとは書かれていませんが、1商品当たりの数値と思われます。メーカーによっては、100 gあたりの数値を掲載しているところもあるので、この点はきちんと書いて欲しいところです。
ちなみに、からあげクン レギュラー(5個入り)の重量は、購入10分後に実測したところ、91.0 g でした。

栄養成分
たんぱく質14.0 g
脂質14.0 g
炭水化物8.5 g
―糖質8.0 g
―食物繊維0.5 g
食塩相当量1.5 g

カロリー 220 kcal

アレルゲン情報
特定原材料7品目 卵、乳成分、小麦
それに準ずるもの 大豆、鶏肉、豚肉

からあげクンの衣の重さからグルテン量を推定

からあげクンという名前ですが、実際はチキンナゲットに似ています。チキンナゲットは、鶏ひき肉に卵や結着剤となるものを加えて成形し、衣をつけて油で揚げたものです。結着剤の成分として小麦粉が使われている可能性もありますが、卵と大豆が主に使われているものと仮定し、衣に使われている小麦粉の量だけに注目して推定しました。

からあげクンは5個入りですが、1個ずつ衣をはがして重さを量った結果、1個あたり、肉を主体とする本体部分が18.0 g、衣の部分が5.0 gでした。

衣の原材料が何かわかりませんが、小麦粉、片栗粉、米粉などを配合したものが使われていると推定されます。ここでは衣は100%小麦粉として計算します。

次に揚げ物を油で揚げると、衣と材料が油を吸います。揚げ物の重さのうち、吸った油の割合を吸油率といい、衣が厚いかき揚げ、天ぷら、フライや、油を吸いやすい野菜の素揚げでは値が高く、衣が薄く、素材が油を吸収しにくい鶏のから揚げでは値が低くなっています。鶏のから揚げの吸油率は0.5%で6)、その油はすべて衣が吸収していると仮定すると、

  • からあげクン1個の吸油量 = 18.5 g × 0.5% = 0.09 g
  • 衣のうち小麦粉の重量 = 5.0 g − 0.09 g = 4.9 g
  • 小麦粉(薄力粉)100 gに含まれるグルテンの量は 7.5 gなので
    からあげクン1個のグルテン量 = 4.9 g × 7.5 ÷ 100 = 0.37 g

からあげクン1商品(5個)あたりのグルテン量は 0.37 g × 5 = 1.9 g と推定されました。

小麦アレルギーやセリアック病の人は食べないでください。非セリアックグルテン過敏症や過敏性腸症候群の人は、食べ過ぎると影響が出るかもしれないので、少しずつ様子を見ながら食べてください。

から揚げと一口にいっても、いろんな種類のものがあります。冷凍食品の中には、小麦・卵・乳由来成分を含んでいない商品もあります(下写真)。メーカーや販売者によって差があるので、気を付けてください。


参考文献

1) 文部科学省、日本食品標準成分表(2020年版)八訂
2) 日本醤油技術センター・醤油業中央公正取引協議会・日本醤油協会、賢い醤油の選び方(2018)
https://www.soysauce.or.jp/gijutsu/pdf/kashikoi.pdf
3) キッコーマン ホームページ
https://www.kikkoman.co.jp/products/product/K050505/index.html
4) 厚生労働科学研究班、食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017 (2017)
https://www.foodallergy.jp/wp-content/themes/foodallergy/pdf/nutritionalmanual2017.pdf
5)  文部科学省、揚げ物における衣の割合及び脂質量の増減(2016)
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/11/08/1365334_1-0320r3.pdf
6) 女子栄養大学調理学研究室、調理のためのベーシックデータ第6版(2022)

グルテンフリー食品まとめ

小麦粉を置き換えるには、グルテンの役割をカバーするための知識や技術が必要です。メーカーさんの工夫によって製造されている、おすすめのグルテンフリー食材をカテゴリー別にご紹介!