グルテンとは 取り出し方や危険性と体に悪い理由

グルテンは小麦などに含まれるたんぱく質です。もともとは2種類のたんぱく質として別々に存在していますが、水を加えてこねることで、粘り気の強いゴム状の物質に生まれ変わります。発酵でパン生地が膨らむのも、麺にコシが生まれるのも、グルテンのおかげなんです。一方でグルテンは消化されにくくいため、体に悪い影響を与えることがわかっており、グルテンが直接の原因となる病気もたくさんあります。

グルテンとはどんなもので、なぜ悪者なのか

グルテンは小麦などに含まれるたんぱく質で特徴は?

グルテンは、小麦、大麦、ライ麦だけに含まれる特殊なたんぱく質です。これ以外の穀物には、全く含まれていません。

パンや麺の生地を作るとき、小麦粉に水や塩などを加えてこねます。もともと小麦粉はサラサラですが、水を加えてこねることで粘り気が出て、こねればこねるほど、粘り気が強くなります。これは、水を加えてこねることで、グルテンが作られるためです。

グルテンが作られるとは、どういう意味でしょうか。実はグルテンは、グルテニングリアジンという2種類のたんぱく質に水が加わって混じりあうことで、はじめてできる物質なのです。

小麦粉から作られる食べものはたくさんありますが、パンとめんはその品質にグルテンが深く関わっています。

パンはパン生地をイースト菌で発酵させてから焼きます。このパン生地はどのように作られるかというと、小麦粉(強力粉が使われる)に水、塩、砂糖などを加え、こねていきます。小麦粉は最初サラサラの状態ですが、水を加えてこねると、粘り気が出始め、さらにこね続けると、粘り気がどんどん強くなっていきます。

これはもともと小麦粉に含まれていたグルテニンとグリアジンが混じりあって、網目状のグルテンが作られていくからです。十分こねて、小麦粉に含まれていたグルテニンとグリアジンがすべてグルテンに変わったら、ここへパン酵母を入れて発酵させます。発酵するとパン酵母が炭酸ガスを作りますが、網目状のグルテンがあるため、生地の中に閉じ込められ、その結果、パン生地が膨らむのです。

このようにふっくら、柔らかいパンを作るのに、グルテンは欠かせません。

膨らむパン

小麦粉の麺も、小麦粉(中力粉が使われることが多い)に水、塩を加えて、こねることで生地を作ります。麺の種類によって違いはありますが、この生地を薄く延ばして、細く切ったものが麺になります。麺の生地の中にも、網目状のグルテンができ上っています。コシがあって、細くしても切れにくいのは、グルテンがあるからです。

グルテンはどこにどれくらいは含まれるのか

小麦粉には5~13%(重量比)のグルテンが含まれています

少し詳しく説明しましょう。小麦粉の主成分はでんぷんですが、たんぱく質も意外と多く含まれており、薄力粉で6%、強力粉で15%くらいがたんぱく質になります。

小麦に含まれるたんぱく質は細かく分けると80種類以上ありますが、その中で最も多く含まれるのが、さきほど紹介したグルテニンとグリアジンです。グルテニンとグリアジンはだいたい同じ量ずつ含まれており、合わせるとたんぱく質の85%を占めます。

ところで小麦粉は小麦から表皮と胚芽を除いた胚乳という部分を粉にしたものです。

胚乳を使っている理由は、でんぷんが最も多く含まれているからです。表皮や胚芽には、たんぱく質や脂質、ミネラルといったでんぷん以外の成分が多く含まれるため、粉に余分な色、味、匂いが付いてしまいます。業者間で取引する際に、小麦粉には特等粉、1等粉、2等粉、3等粉、末粉という分類があり、でんぷん以外の成分が少ない粉ほど上等な粉として扱われています。ちなみに一般向けに流通しているのは、特等粉か1等粉です。

胚芽と表皮には、胚乳よりも多くのたんぱく質が含まれています。特に発芽して「芽」となる胚芽の33%がたんぱく質です。

また表皮は小麦ふすま(英語ではbran)といわれ、家畜のエサとして使われていますが、低カロリーでミネラルを多く含むことからシリアルの原料として使われている例もあります。

小麦粒全体のグルテンの分布をまとめると次のようになります。

胚乳 胚芽 表皮(ふすま)
小麦粒のうち占める割合(%) 83 2 15
たんぱく質の比率(%) 15 33 16
グルテンの量(g/100g)※ 10.6 0.6 2.0

※小麦粒100gに含まれるグルテンの量、強力粉を前提に試算

小麦以外でグルテンを含む穀物は、大麦とライ麦があります。

大麦は主食用に使われるほか、麦茶や青汁、ビール、焼酎、ウイスキーなどの原材料としても使われます。

ライ麦は日本では馴染みが少ないですが、ライ麦パンやウイスキーの原材料になります。大麦そのものやライ麦粉を扱う機会は少ないと思うので、それらを使った食品に、グルテンが含まれているかどうかを、関連記事で説明しています。よかったら、こちらもご覧ください。

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グルテンの抽出方法

グルテンは水に溶けない網目状の高分子

グルテンは小麦粉から簡単に取り出すことができます。

なぜかというと、グルテンは水に溶けず、網目状の高分子になるからです。小麦粉の主成分であるでんぷんも水に溶けませんが、でんぷんの粒は非常に小さいので、水で洗うと流れてしまいます。次に小麦粉に6~15%含まれるたんぱく質のうち、グルテン以外のたんぱく質の大半は水に溶けます。そのためキッチンにある道具だけで、小麦粉からグルテンを取り出すことが可能です。

今回は、グルテンを多く含む強力粉、グルテンが少ない薄力粉、そして古代小麦の一つでグルテンが少ないといわれている(実際には間違いですが)スペルト小麦粉から、グルテンを取り出してみました。

原料

  • 強力粉(日清製粉カメリア)
  • スペルト小麦粉(鎌倉てとら合同会社)
  • 薄力粉(日清製粉フラワー)

方法

①小麦粉100gに、30℃のぬるま湯70mlを加え、手で10分間こねる。

②こねたものを、30℃のぬるま湯で、白濁液が出なくなるまで、手でこねながら洗う。

③得られたものの重量を測る(これを湿重量といいます)。

強力粉

スペルト小麦粉

 

④110℃で乾燥し、90分ごとに重量を測定。重量の減少がなくなったときの重量を測る(これを乾重量といいます)。

結果

110℃で16.5時間乾燥した結果、

  • 強力粉100gに含まれるグルテンは13.5g
  • スペルト小麦粉100gに含まれるグルテンは14.0g
  • 薄力粉100gに含まれるグルテンは8.0g

という結果でした。

スペルト小麦にも大量のグルテンが

驚いたのは、スペルト小麦にふつうの小麦を上回る量のグルテンが含まれていたことです。スペルト小麦はグルテンが少ないとか、グルテンレスとかネット上の記事にありますが、全くの間違いです。上の動画にあるように、確かにゴム状の物質が得られ、その粘り具合は、強力粉とほとんど変わりませんでした。

なおネット上に、湿った状態のグルテンの重さを比較してあるのを見かけましたが、あまり意味がありません。こね方や粉の性質によって、水の含みやすさが異なるからです。

グルテンは購入することができます

今回は小麦粉からグルテンを取り出しましたが、グルテンは食品添加物として普通に使われるため、スーパーなどで購入することができます。

もっともよく使われる用途は、米粉パンの添加物です。米粉パンって米粉だけでできているじゃないのか?と思われるかもしれませんが、米粉だけではパンがうまく膨らまないので、通常、米粉とグルテンを8:2の比で混ぜた粉を使います。米粉パンについては、関連記事も参考にしてください。

後で手に発疹(紅斑)ができました

小麦粉をこねるとき、手袋をはめずに、素手でやりました。作業が終わってから2時間後に自分の手を見ると、紅斑ができていることに気づきました。グルテンとの因果関係はわかりませんが、いままでこんな場所に、紅斑ができたことなかったので、ちょっと気持ち悪いです。

紅斑は、何らかの物質が皮膚に接触し、それが原因で即時型アレルギー反応が起きることで現れます。幸いに軽かったので、かゆみも腫れもありませんでした。指の外側だったので、作業をした後、きれいに洗い流せていなかったのではないかと推測します。

グルテンが体に及ぼす悪影響

グルテンは消化されにくく腸に悪い

人間は生きていくために、たんぱく質を食物から摂らなければなりません。たんぱく質は、アミノ酸が鎖状につながり、またその鎖どうしがつながって網目状になり、さらに複数の鎖と網目が複雑に絡み合って、立体構造になったものです。人間が栄養源として吸収・利用できるのは、構成単位のアミノ酸です。

食物として摂取したたんぱく質は、胃、十二指腸、小腸で消化酵素によって分解され、アミノ酸になります。そして小腸の壁から吸収されて血管の中に入り、全身へ運ばれます。アミノ酸は体内で再びたんぱく質になり、筋肉、臓器、皮膚、毛髪の構成成分になるほか、体の機能を調整するホルモン、酵素などの原料としても使われます。

たんぱく質には、肉、魚、卵、乳製品に含まれる動物性たんぱく質と、大豆、小麦などに含まれる植物性たんぱく質があります

動物性たんぱく質はその成分から、ホエイカゼイン卵白の3つに、植物性たんぱく質は大豆たんぱく小麦たんぱくにそれぞれ分けられます。この5種類のたんぱく質について、吸収される比率と体に保持される比率をまとめたのが、次の表です1)

動物性たんぱく質 植物性たんぱく質
ホエイ カゼイン 卵白 大豆たんぱく 小麦たんぱく
摂取した量 100 100 100 100 100
吸収された量 88 98 94 82 76
からだに保持された量 92 76 94 61 41

動物性たんぱく質はいずれも摂取した量の88~98%が吸収されています。そして吸収されたあと、ホエイと卵白はそれぞれほぼ100%が体内で使われています。

一方、植物性たんぱく質は動物性たんぱく質に比べて吸収される比率が低く、大豆たんぱくでは食べた量の82%、小麦たんぱくでは食べた量の76%しか吸収されていません。

小麦たんぱくの吸収率が悪いのは、消化(=分解)されにくいからです。先ほど説明したように、たんぱく質は、アミノ酸にまで分解されないと、吸収されません。

ところが小麦たんぱくの85%を占めるグルテンは、水に溶けず、網目状で粘着質であることから分解されにくく、アミノ酸に完全分解されないまま小腸へ入ってくることがあります2)。消化が悪い食べ物は、胃腸に負担がかかります。

グルテンは腹部膨満、腹痛、下痢、便秘を起こす

消化(分解)されなかったグルテンは、最終的には大便として排泄されますが、すんなりと出て行ってくれません。腸でいろいろな問題を引き起こします。

小腸で吸収されなかったグルテンは、大腸へ送られ、腸内細菌のエサになります。腸内細菌はグルテンを食べて、ガス(水素、メタン、二酸化炭素)を作ります。ガスが大量発生すると、お腹がパンパンに張った状態(腹部膨満とか鼓腸といいます)になり、またお腹の中でガスが移動する際、グルグルと音がします。お腹が張ると苦しいですし、仕事中に音がして困ることがあります。

これだけならよいのですが、小腸で分解されなかったグルテンは大腸の壁を刺激し、大腸の蠕動運動が活発化し下痢が起こります。グルテン過敏症といわれる人は、グルテンを分解する能力が低いため、小麦などを食べると、大腸に未分解のグルテンがたくさん溜まり、からだはこれを早く排出しようと、下痢を起こします。

さらに分解されにくいグルテンは、腸内に長い時間とどまる場合があります。そうすると、便秘になります。便秘と下痢は、相反する症状のように見えますが、どちらも大腸の蠕動運動が不規則になることが原因で、便秘と下痢を繰り返す人も多くいます。

腹痛にはいろいろな種類がありますが、ガスや分解されなかったグルテンが大腸壁を刺激することで、お腹が痛くなることがあります。また分解されないグルテンが長時間、腸内にとどまることになるため、下腹部に重い痛みを感じることもあります。

グルテンはアレルギーの原因アレルゲンになる

小麦に含まれるたんぱく質には、アレルギー反応の原因となるもの、すなわちアレルゲンとなるものがたくさん知られています。アレルギー反応にも、原因物質が体内に入ってから数時間以内に起こる即時型アレルギー、しばらく時間が経ってから起きる遅延型アレルギーなど、いろいろな種類があります。

グルテンが関係しているアレルギー反応の例を紹介します。

  • 小麦アレルギー(即時型アレルギー) ※グルテン以外のたんぱく質が原因となることも多い
  • セリアック病(遅延型アレルギー) グルテンを構成するグリアジンがアレルゲン
  • 非セリアックグルテン過敏症(遅延型アレルギーの疑いがあるといわれている)
  • グルテン失調症(遅延型アレルギー) 小脳の運動調節機能が損なわれることになる運動失調
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グルテンにより腸で炎症が起きて、全身に影響する

グルテンが原因で炎症が小腸で起きることがあります。人間の免疫細胞の70%は小腸にあります。また、人間の栄養素の大半は、小腸で吸収されます。さらに小腸の壁には、必要な栄養分は通過できるが、異物は通過できないバリア機能があります。

この小腸で炎症反応が起きると、

  • 免疫が正常に働かなくなる
  • 十分な栄養吸収ができなくなる
  • 腸管バリア機能が損なわれ、本来吸収されない異物が体内(血管内)にはいってしまう

といった問題が生じます。そして、その影響は全身に及ぶことになります。

具体的にどのような影響が起きるかについては、別の記事で詳しく説明しているので、ぜひご覧ください。

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まとめ

  • グルテン小麦、大麦、ライ麦だけに含まれるたんぱく質グルテニングリアジンに水が加わって混じりあうことでできる水に溶けない網目状の高分子。
  • 小麦粉には5~13%のグルテンが含まれている。小麦粒の胚乳だけでなく、胚芽や表皮にも含まれており、その比率は胚芽、表皮の方が高い。
  • グルテンは小麦粉から簡単に取り出すことができる。スペルト小麦からも多くのグルテンが回収された
  • グルテンは消化されにくく吸収率も悪いため、胃腸の負担になるだけでなく、ガスの発生による腹部膨満や腹痛、消化不良による下痢、便秘を起こすことがある。
  • たんぱく質であるグルテンはアレルギー反応を起こすことが知られている。また免疫機能の低下、栄養吸収不良、腸管バリア機能が損なわれることで、本来吸収されない異物が体内に入ることで、さまざまな全身症状を起こす。

参考文献
1) 森永製菓ホームページに掲載されているデータから計算
https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=15&category=health
2) Jonas F Ludvigsson et.al., The Oslo definitions for coeliac disease and related terms, Gut 62 (1) 43-52 (2011)

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