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花粉症、食物アレルギー、アトピー素因、グルテン過敏症は関係している、筆者の経験をもとに振り返る

いまや、日本人の 2 人に 1 人が花粉症ってご存じでしたか? 20 年前は 3 人に 1 人だったのが、どんどん増え続けているとか。そういう筆者も花粉症です。花粉症ということは、アトピー素因を持っているんですが、これってグルテンに弱い体質的であることと関係しているんでしょうか? 筆者のアレルギー遍歴を振り返りつつ、探ってみます!

花粉症の発症は中学生のとき

今でもよく覚えているのですが、本当にある日突然花粉症を発症しました

中学のときに外で部活動をしていたら、どういうわけか涙と鼻水が止まらない! 昨日まで、というかさっきの授業までなんともなかったのに!

あまりにひどい?顔面を見た先生が、病院に行っておいでと言ってくれ、検査をすると花粉症でした。しかもかなりいろいろな植物に反応があったのを覚えています。

花粉症が発症するのは、コップから水があふれるように許容量を超えた瞬間なんだよ。人からそう聞いたとき、自分のはコップじゃなくて、おちょこだったんだなぁ、と思いました。中学生で……これから先が長いなぁと途方に暮れたのでした。

 

 

アレルゲンは毎日少しずつ体内に入ってきますが、その人にとっての許容限度を超えた瞬間から、アレルギー反応が起こります。これは、コップに少しずつたまっていった水が満杯になると、コップから水があふれ出すのに例えられます。アレルゲンを取り込む速度と、コップの大きさは人によって違うので、若いうちにコップがいっぱいになって、アレルギーを発症する人もいれば、亡くなるまでコップがあふれない人もあます。

花粉症の人が発症する食物アレルギーがある?

成長するにつれ、まわりに花粉症仲間がどんどん増え、春先のマスクも市民権を得たように感じ始めたころ、花粉・⾷物アレルギー症候群の存在を知りました。

こちらは当サイトの薬剤師のHirataに説明してもらいましょう。

 

Hirata

花粉症は植物の花粉に含まれるたんぱく質が原因で起こるアレルギー反応ですが、このたんぱく質と構造が似た別のたんぱく質にアレルギー反応を示すことがあり、これを交差反応といいます。

花粉症の人が、果物や野菜に含まれるたんぱく質によって交差反応を起こす病気を、花粉・食物アレルギー症候群(PFAS:Pollen-Food Allergy Syndrome)といいます。これは食物アレルギーの一種です。

 

数年前に花粉症の薬をもらいに行った病院で、検査を受けました。

特に花粉症の症状が出ると自覚しているのが、スギ、ヒノキ、ブタクサです。
これらの植物の交差反応は、

トマト、メロン、スイカ、きゅうり、ズッキーニ、セロリ、にんじん、じゃがいも、キウイ、オレンジ、ピーナッツ、バナナ

あたりに出るそうです。検査の結果、これらの食物に対するアレルギーはありませんでした。

 

が、しかし!

これらのリストを見て思いました。こどものころから、メロン、スイカ、きゅうりが苦手なのです。

理由は、「食べると喉の奥がピリピリするから」

友だちに「メロンって何でピリピリするんだろうね~」と言ったら、「は?」と返され、しょぼくれた記憶がよみがえります。メロンがそういう食べ物だったのではなく、自身の感覚だったんですね。

この症状は、口腔アレルギー症候群(OAS:Oral Allergy Syndorome)と言うんだそうです。

 

Hirata
口腔アレルギー症候群とは食物アレルギーのタイプの一つで、原因となる食物を食べた直後から30分以内に、口の中、唇、喉にかゆみやイガイガした感じが生じ、唇が腫れたり、喉が圧迫されたような感じがする場合があります。このタイプの食物アレルギーは、花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)の症状として起こることが多いといわれています。

 

つまり、筆者はこのままメロンをたくさん食べ続けた場合、メロンアレルギーを発症する可能性があるということでしょうか。

 

hirata

ウリ科植物ですでに OAS の症状が出ているので、そうでない人と比べると、食物アレルギーになる可能性は間違いなく高いです。ただ、なるかどうかはわかりません。

のどがピリピリするなら、無理して食べる必要はありません。大人になって発症する食物アレルギーは、寛解しにくいといわれているので、なおさらです。

花粉症の原因植物と、口腔アレルギー症候群を起こす果物、野菜の関係は、ある程度わかっているそうです。日本小児アレルギー学会が作成した食物アレルギー診療ガイドライン 2016 ダイジェスト版に記載の「主な花粉と交差反応性か証明されている果物・野菜など」を下に示します。
花粉 果物 野菜ほか
ヒノキ科 スギ ナス科(トマト)
キク科 ブタクサ ウリ科(メロン、スイカ)
バショウ科(バナナ)
ウリ科(キュウリ、ズッキーニ)
キク科 ヨモギ ウルシ科(マンゴー) セリ科(セロリ、ニンジン)、スパイス
イネ科 ウリ科(メロン、スイカ)
マタタビ科(キウイフルーツ)
ミカン科(オレンジ)
ナス科(トマト、ジャガイモ)
マメ科(ピーナッツ)
カバノキ科
シラカンバ
ハンノキ
オオバヤシャブシ
バラ科(リンゴ、西洋ナシ、サクランボ、モモ、スモモ、アンズ、アーモンド)
マタタビ科(キウイフルーツ)
ウルシ科(マンゴー)
セリ科(セロリ、ニンジン)
ナス科(ジャガイモ、シシトウガラシ)
マメ科(大豆、ピーナッツ)
カバノキ科(ヘーゼルナッツ)

 

小児アトピー性皮膚炎は治るもグルテン過敏症に

花粉症より以前のアレルギー遍歴を思い起こすと、小児アトピー性皮膚炎でした。小学校低学年くらいまで、ひじやひざの裏側に湿疹がでていました。

当時の食生活はもちろんグルテンフリーではなく、毎朝、食パンにマーガリンやジャムを付けて食べていました。筆者はもともとごはん党ではなくパン党でした。めん類も、そばよりうどん、パスタの方が好きで、お菓子も大福よりクッキーでした。

子どもの味覚としてはごく平凡なものだと思います。そして好物に小麦が多めだったことは否定できません……。

ところが、いつもお腹の調子が悪い。なぜなんだろう。いろいろと原因を調べていくうちにたどり着いた結論が、グルテンでした。そして 7 年前からゆるグルテンフリー生活をすることで、お腹の不調はほとんどなくなりました

ごくたまに小麦が入ったものを食べることもあります。そうすると、確実にお腹の調子が悪くなります。お医者さんに診断してもらってはいませんが、どうも非セリアックグルテン過敏症のようです。

そして、セリアック病非セリアックグルテン過敏症といったグルテンが原因の病気にかかっている人には、アトピー性皮膚炎の人が多く、グルテンとアトピー性皮膚炎には、何らかの関係があるといわれています。自分のケースと一緒なので、やっぱりそうなのか、というのが実感です。

グルテンの全身への影響は当サイトでご紹介しているとおりですので、やはり口に入れるものへの興味はしっかりと持つべきですね。

 

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まとめ

  • いま日本では 2 人に 1 人が花粉症。花粉症の人は交差反応で、他の野菜や果物に対しアレルギー反応を示すようになる可能性がある。これを花粉・食物アレルギー症候群という。
  • 花粉・⾷物アレルギー症候群の症状として口腔アレルギー症候群があり、原因となる食物を食べて 30 分以内に、口の中、唇、喉にかゆみやイガイガした感じが生じ、唇が腫れたり、喉が圧迫されたような感じがする。
  • 苦手な食べ物は、単なるわがままではなく、アレルギー反応による違和感の場合もある。幼いこどもの場合、不快な症状を好き嫌いでしか表現できない可能性もある。
  • 現在アレルギーになっていないからといって、摂取を続けると、アレルゲンがコップの水があふれるように体の許容量を超えてしまい、アレルギー症状が起きる可能性がある。
  • セリアック病や非セリアックグルテン過敏症といったグルテンが原因の病気にかかっている人には、アトピー性皮膚炎の人が多く、グルテンはアトピー性皮膚炎と何らかの関係性があると考えられる。

グルテンフリー食品まとめ

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