グルテンフリーとはどんな意味?効果はあるのか

グルテンフリーとは、効果が期待できる4つの理由

グルテンフリーとは、小麦に含まれているグリアジンを異物と見なす自己免疫疾患であるセリアック病の患者さんための食事法です。

しかしセリアック病患者さん以外でも、多くの人にグルテンフリーの健康効果があると考えられます

グルテンは、小麦、大麦、ライ麦に含まれるたんぱく質です。グルテンフリーとは、グルテンが含まれる食物を摂らないようにすることですが、なぜ食物からグルテンを排除する必要があるのでしようか。

理由は4つあります。

①グルテンはアレルギー反応の原因物質になる

まずグルテンはアレルギー反応を起こす可能性があることです。

人間は外界のさまざまな物質から自分の体を守るために「免疫」という仕組みを持っています。例えば風邪をひくと、喉が腫れて熱が出ますが、これは風邪のウイルスを殺すために血流を増やし、血管透過性を増大させて、ウイルスを殺す物質を患部に送り込むとともに、温度を高くしているのです。

アレルギー反応は、ある特定の物質に対し免疫が過剰に反応することで起きますが、一部の人にとって、グルテンはアレルギー反応の原因物質(これをアレルゲンといいます)になります。

アレルギー反応にも、すぐに症状が現れるタイプと、1~2日経ってから症状が現れるタイプがあり、またその症状もさまざまです。また人によってアレルゲンに対する感受性が異なります。食物アレルギーは子どもに多いことが知られていますが、それは消化管が未熟で消化が不十分なため、食べたものがアレルゲンになりやすいからです。もともと体質的に消化管や皮膚が弱い人は、アレルギー反応を起こしやすいと言えます。

アメリカでは16人に1人がグルテンに合わない体質ではないかといわれており、決して珍しいことではありません。

またアレルギー反応は、アレルゲンに接触する機会が増えると、突然重い症状が出ることがあります。それまでは何もなかったのに、ある年から急に花粉症になって、鼻水が止まらなくなったというのはよくあることです。小麦に含まれるグルテンも、花粉と同様、アレルゲンになるので、可能なら排除したほうがよいでしょう。

②グルテンは消化・吸収されにくい

2番目は消化・吸収の悪さとその影響です。

グルテンはたんぱく質なので、胃液に含まれるペプシンという消化酵素で分解されてポリペプチドになり、小腸で吸収され、血管の中に入りますが、肉、魚、大豆などのたんぱく質と比べて、消化・吸収されにくいといわれています。

その理由の一つが粘着性です。グルテンという名前は、粘着性のある「にかわ」(英語でGlue)に由来しています。

パンの発酵やうどんのコシ、パスタの歯ごたえにグルテンは欠かせませんが、逆にこのような粘着性が、小腸での消化・吸収を困難にしています。また吸収された後、脳の中でさまざまな影響を及ぼしていると考えられ、統合失調症、自閉症、注意欠如多動性障害(ADHD)との関連も指摘されています。

これらについてはまだよくわかっていない部分もありますが、あえてグルテンをたんぱく源とする必要はないでしょう。

③グルテンには習慣性がある

3番目は習慣性による過食です。

グルテンが消化・吸収されて生じる物質が脳に働き、ドパミンを出すことがわかっています。

つまりグルテンを含む食品を食べることで、幸せな気分になり、満足感が得られるのですが、グルテンがなくなると、無性に食べたくなり、食べてしまうということを繰り返します。アメリカでグルテンフリーダイエットが注目を集めていますが、グルテンを含む食べ物を排除することで、過食を防ぐ狙いもあります。

④グルテンを受け入れるようにカラダが進化できていない

そして4番目は、わたしたちの体がグルテンを受け入れるように進化していないということです。

火を使う人類が誕生したのが50万年前ですが、それ以来われわれの祖先は、肉、魚、木の実、植物を食べてきました。本格的な農耕が始まったのが1万年前で、小麦の生産量が増加し、また小麦の品種改良によりグルテンの多い小麦が出回り始めたのはわずか50年前です。

このように人間が小麦を日常的に食べるようになり、その中に多くのグルテンが含まれているという状況になっていますが、人間の体の進化がそれに追いついていないと言われています。このように、アレルギー反応への懸念、消化・吸収への懸念、習慣性による多食への懸念、人間の体に対する懸念から、グルテンフリーは意味があると考えています。

note(ノート)

こんにちは。 世の中には、特にネット上には、  グルテンフリーにはデメリットがある  グルテンフリーなど効果がないので…

グルテンフリーがダイエットになる3つの理由

グルテンフリーと聞いて、ダイエットを思い浮かべる人は多いと思います。

それは2014年ころに米国のセレブがグルテンフリーをダイエット法として取り入れていることが、マスコミで報道されたからだと思います。少し古いデータですが、2015年の時点でアメリカでは11%の世帯でグルテンフリーの生活を送っているそうです。

これは医学的な理由で食事からグルテンを抜かなければならない人の数を上回っています。アメリカでは、グルテンフリーはダイエット法として定着しています。ではなぜグルテンフリーがダイエットになるのでしょうか。理由は3つあります。

①小麦への習慣性・依存性をなくす

ドパミンでやみつきになる

先ほど述べたように小麦には習慣性があります。習慣性というのは、一回食べるとまた食べたくなるということで、「やみつき」ともいいます。

広辞苑によると、やみつき(病み付き)とは、
①病みつくこと。病気のかかりはじめ。
②ある事に夢中になり,やめられなくなる状態。
とあります。②の意味ならだけよいのですが、小麦については①に関係するので、少々やっかいです。

 

ところでみなさんは「アヘン」って聞いたことがありますか。

アヘンはケシの実からとれる乳液を乾燥させたもので、麻薬です。昔、イギリスがインドで生産したアヘンを中国(当時は清)に輸出して大きな利益を得ていましたが、アヘンの蔓延に危機感をつのらせた清が、アヘンを禁輸し、イギリス商人のアヘンを没収・焼却したことから、イギリスと清の間で戦争になりました。アヘン戦争です。イギリスは戦争に勝利し、1942年に締結された南京条約で、香港がイギリスに割譲されました。清はなぜアヘンの流入を止めようとしたのでしようか。

それは強い習慣性があるため常用者はアヘンを買い求め続けることになるからで、アヘンで人間を支配しているようなものです。そして乱用を続けると、最後は廃人になってしまいます。

アヘンは昔から鎮痛薬として使われてきました。アヘンの主成分であるモルヒネは、がんの痛みを和らげる目的で現在も使われています。

では病気でない人が、アヘンやモルヒネを使いたがるのはなぜでしょうか。それは「幸せな気分」になるからです。

モルヒネは脳のオピオイド受容体というところに結合します。すると脳の中がドパミンで満たされ、多幸感、陶酔感が得られます。さらに脳内のドパミン神経系は、欲求が満たされたときや報酬を得ることを期待して活性化し、さらに快の感覚を与えます。これを報酬効果といいます1)

この効果には強い依存性があり、モルヒネがなくなると、強い欲求が起きます、これか禁断症状です。このようにいったん麻薬に溺れると、そこから抜け出すのは容易なことではありません。

グルテンをとると幸せに!?

グルテンが分解されてできるポリペプチドには、このアヘンやモルヒネと同じ作用があることがわかっています

アヘンやモルヒネが結合する脳のオピオイド受容体に、グルテンの分解物であるポリペプチドが結合し、われわれの脳を幸せな気分にしてくれます。

グルテンがドパミンを分泌するメカニズム

おいしいパン、おいしいラーメンを食べると幸せな気分になり、また食べたくなるのは、このようなメカニズムで説明ができます。

もちろん、アヘンやモルヒネと比べるとその作用は弱いので、神経系に障害が出ることは少ないと思います。

一方でグルテンに対して適応ができない体質の人が3人に1人いるのではないかといわれている中で、小麦を食べ続けることは、別の病気のきっかけになる可能性があるのではないでしょうか。

小麦の習慣性について、興味深い実験結果があります。サウスカロライナ医科大学で、被験者の半分にオピオイド受容体が働かなくなる薬(オピオイド受容体拮抗薬といいます)を与えたところ、与えなかったグループに比べ、食事の摂取量が昼食で33%減、夕食で23%減(2食で合計およそ400kcal減)となりました。

ミシガン大学では、過食気味の人たちの半分にオピオイド受容体拮抗薬を投与し、食べ物でいっぱいの部屋に1時間閉じ込める実験が行われました。その結果、オピオイド受容体拮抗薬を投与された被験者たちが小麦クラッカーやプレッツェルを食べた量は普段より28%減っていたことがわかりました2)

小麦によって得られる多幸感を遮断すると、食欲が減り、カロリー摂取量も減ります。米国ではグルテンフリーダイエットがブームになっていますが、グルテンを摂るのをやめることで、栄養として必要な量を超えて食べてしまうのを防ぐことができるからなのです。

②グルテンによる害を避ける

2つ目はグルテンによる害の排除です。

グルテンは小麦アレルギー、セリアック病などのアレルギー性疾患の原因となるほか、ノンセリアックグルテン不耐症のように、消化器を中心にさまざまな影響を与えることがわかっています。ダイエットは体を健康に保つことが大前提です。健康な体を作るために、悪影響があると言われているグルテンは排除しようという考え方です。

③栄養管理をする

そして3番目は栄養管理です。

グルテンフリーを心がけると、自然と食べ物に注意を払うようになります。摂取するカロリーだけでなく、栄養のバランスや、添加物・農薬の有無などに気を付けるようになります。グルテンフリー食品を販売している店によると、グルテンフリー食材を買い求める客は、オーガニック食材にも関心が高いと言います。健康志向の高まりの中で、グルテンフリーも定着しているようです。

グルテンが関係していると考えられる病気と症状

ここでは小麦たんぱく質、グルテンが関係していると考えられる病気と症状をまとめて示します。以下のことに注意してご覧ください。

  • 多くの場合、一部の症状が現れます。また症状の種類・程度には個人差があります。
  • 複数の病気で似た症状が現れます。何が原因か、どの病気かは医師の診断が必要です。
  • グルテンと症状の関係については諸説あり、専門家の間でも異なる意見があります。
  • ここに記載した症状は、小麦たんぱく質やグルテン以外の原因で起こることもあります。

病名

主な症状

小麦アレルギー セリアック病 ノンセリアックグルテン不耐症
消化器 腹部膨満
悪心、嘔吐
腹痛、下痢
便秘
血便
脂肪便
裂肛(切れ痔)
皮膚 紅斑、じんましん、血管性浮腫、かゆみ
湿疹
疱疹状皮膚炎
尋常性ざ瘡(吹き出物)
結膜充血・浮腫、眼のかゆみ、まぶたの腫れ
鼻汁、鼻づまり、くしゃみ
舌炎、口角炎
頭痛
もやもや感
呼吸器 呼吸困難
循環器 血圧低下
貧血
全身 意識障害、
抑うつ、平衡感覚喪失
倦怠感、疲労
筋力低下、食欲不振
体重減少
関節痛、しびれ
ビタミンD欠乏症、カルシウム欠乏症

もし心当たりがある症状があれば、それぞれの病気についての関連記事を是非お読みください。

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小麦
note(ノート)

みなさん、こんにちは。 このブログを読んで下さるあなたは、たぶんグルテンフリーに関心をお持ちだと思います。まず最初に、…


1) がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2010年版 日本緩和医療学会
2) ウイリアムデイビス 小麦は食べるな 日本文芸社(2013)
3) 食物アレルギーの診療の手引き2017、厚生労働省(2017)から抜粋
4) MSDマニュアルプロフェッショナル版

グルテンフリー食品まとめ

小麦粉を置き換えるには、グルテンの役割をカバーするための知識や技術が必要です。メーカーさんの工夫によって製造されている、おすすめのグルテンフリー食材をカテゴリー別にご紹介!