グルテンの危険性、小麦粉に含まれるたんぱく質

グルテンは小麦粉に含まれるたんぱく質のひとつですが、もともとグルテンという物質が存在するのではなく、グリアジンとグルテニンという2種類のたんぱく質に水を加えてこねることで、形成されるゴム状の物質です。

グルテンにはアレルゲンとなる部分が含まれています。そしてこれに反応する人の割合が、他のたんぱく質と比べて異常に高いです。また人間の消化酵素で分解されにくい構造をしています。さらに腸のバリア機能を破壊し、リーキーガットの原因になります。

グルテンは小麦に含まれるたんぱく質のひとつ

たんぱく質は水とアルコールへの溶解性で分類される

小麦にはデンプンが約70%含まれていますが、たんぱく質も10~20%(平均すると約12%)含まれています。たんぱく質には非常に多くの種類がありますが、おおまかに水とアルコールに溶けるか、溶けないかで分類することができます。

グリアジンとグルテニンが網目状になったのがグルテン

グルテンは水に溶けないたんぱく質であるグリアジンとグルテニンが合わさったものです。アミノ酸が多数つながったものをポリペプチドといいますが、グリアジンは1本のポリペプチド鎖から構成されています。弾力は弱いが伸びやすい性質があります。

一方、グルテニンは、複数のポリペプチド鎖からできており、しかもその鎖どうしが、ジスルフィド結合(S-S結合)という結合でつながっており、もともと網目状の構造をしています。弾力はありますが、伸びにくいという特徴があります。

このグリアジンとグルテニンが個々に存在している状態では、強い粘り気は生じません。水を加えてこねると、網目構造が強化され、グリアジンの伸びやすさグルテニンの弾力が合わさって、ゴムのような粘り気を持つグルテンができるのです。いったんグルテンが出来上がると、乾燥してもグリアジンとグルテニンに分離することはありません。

パン生地を作る場合を例にして、グルテンができる様子を説明しましょう。パン生地をつくるときは、小麦粉(強力粉)100に対して60~70の水を加えてこねると、グリアジンとグルテニンが絡み合って、生地の中にグルテンが形成されます。さらにこねることでグルテンは薄い膜になり、小麦粉の中のでんぷんや空気の泡を包み込みながら、網目状の繊維構造となります。

パン生地に加えた酵母(イースト)が発酵すると炭酸ガスが発生します。炭酸ガスは小さな気泡になって生地の組織中に入り込み、全体を押し広げ、大きな体積ときめが細かいすだちをつくります。これが、パンが膨らむメカニズムです。

小麦には、グリアジン、グルテニン以外にも、たくさんのたんぱく質が含まれています。主なたんぱく質と、小麦が原因で起きる病気との関係を整理しました。

たんぱく質の名称 病気との関係
◎影響大 ○影響あり ×影響なし -不明
小麦アレルギー セリアック病 ノンセリアックグルテン過敏症
アルブミン × ×
グロブリン × ×
α-アミラーゼ × ×
アシル-CoAオキシダーゼ × ×
ペルオキシダーゼ × ×
アミノペプチダーゼ × ×
リポキシゲナーゼ × ×
トリプシンインヒビター ×
脂質輸送タンパク質 × ×
グリアジン α-グリアジン
β-グリアジン
γ-グリアジン
ω-グリアジン
グルテニン 高分子量グルテニン
低分子量グルテニン

グルテンが危険といわれる3つの理由

アレルゲンとなる部分を含み、これに反応する人が多い

食物アレルギーは、特定の食べものを異物と認識し、これを排除するためにアレルギー反応が起きる病気です。セリアック病は、小麦になどに含まれるグルテンを異物と認識し、これを排除するためにアレルギー反応が起きます。この異物のことをアレルゲンといいます。

グルテンの構造の中に、アレルゲンとなる部分があることがわかっています。多くの人はグルテンが入った食べものを食べても、何も起きません。これは自身の免疫系がアレルゲンに反応しないからです。小麦アレルギーやセリアック病の人は、なぜかこのアレルゲンに反応してしまうため、いろいろな症状が現れます。

グルテンは、グリアジンとグルテニンというたんぱく質の総称ですが、このうちグリアジンというたんぱく質がセリアック病の人のアレルゲンになることがわかっています。特にほとんどのセリアック病が、α-グリアジンがアレルゲンであることがわかっています。現在、100人に1人がセリアック病といわれているので、かなり高い確率でアレルゲンになるということになります。一方の小麦アレルギーの場合は、アレルゲンとなるたんぱく質はグルテンに限りません。いろいろなたんぱく質がアレルゲンになるといわれており、また複数のたんぱく質がアレルゲンとなるケースもあります。小麦アレルギーの人は330人に1人くらいいるといわれていますが、症状の軽い人もいるため、実態はよくわかっていません。

いずれにしてもグルテンは、100人に1人くらいの人にとって、アレルゲンとなるということです。これは日本人の主食であるお米に対するアレルギーの発症率と比べて、異常な高さです。

人間の消化酵素で分解されにくい

食べ物に含まれるたんぱく質は、胃液、膵液、腸液に含まれる消化酵素で分解され、構成単位であるアミノ酸になります。アミノ酸になって初めて、小腸の壁から体内に吸収されます。グルテンもたんぱく質なので、このように分解されるはずなのですが、実はそうはいかないのです。

グルテンは水に溶けません。またグルテンが形成されてしまうと、ゴムのような粘り気があるため、なかなかバラバラになりません。そのため消化酵素で分解されにくいのです。

グルテンはグリアジンとグルテニンに水を加えてこねることで作られるゴム状の物質です。それならは、こねなければ大丈夫か、というとそうではありません。グルテンを構成するプロラミンというたんぱく質には、グルタミンとプロリンというアミノ酸が豊富に含まれています。このアミノ酸自体は有害ではありませんが、グルタミンとプロリンに富む周期配列の数が多くなると、たんぱく質分解酵素で分解されにくいのです。

グルテンは胃の胃液、十二指腸の膵液で分解されないまま、小腸に到達します。ゴムのような粘り気があるため、小腸の壁に貼りついて、なかなか離れません。免疫系がこれを攻撃することで、小腸の壁が破壊されるのが、セリアック病です。それ以外の人は、腸内細菌がせっせと分解してくれるのを待つしかありません。しかしその結果、たんぱく質が一気にガスに変わるため、下腹が張ったり(腹部膨満)、おならが頻繁に出ることになります。腸内細菌が分解できないと、腹痛下痢が起こります。腹部膨満くらいなら、健康な人でもふつうに起きていると思われます。

なお消化酵素の量や分解能力には個人差があります。もともと消化酵素の分泌量が少ない人や、その能力が低い人は、グルテンの影響を強く受けることになります。

腸の透過性を変化させ、リーキーガットを起こす

口と肛門を通じて外界とつながっている腸は、さまさまな異物にさらされています。その一方で、人間は栄養分の90%を腸で吸収しています。そのため腸には必要なものは通すが、異物は通さないバリア機能が備わっています。

腸のバリア機能の一つに、腸管の表面の細胞のすき間を狭くすることで、異物の透過を防ぐ細胞間接着装置というのがあります。ゾヌリンというたんぱく質は細胞間接着装置を緩めることで、腸の透過性を高めますが、グルテンがゾヌリンというたんぱく質の腸内での放出を促進することがわかっています。

つまりグルテンを含むものを食べると、腸内でゾヌリン濃度が上昇し、腸の透過性が上がってしまいます。そのため本来吸収されない分子量の大きなものまで吸収され、全身にさまざまな影響を与えます。例えば、グルテンが原因で起きる運動失調は、グルテンの不十分な分解で生じたペプチドが腸から吸収されることで、運動機能を司る小脳の神経細胞が破壊されることが原因です。これ以外にも、湿疹や肌荒れの中に、本来吸収されない物質が体内に入ることで起きているものがあります。

腸の透過性が異常に上がった状態を、リーキーガットといいます。リーキーとは漏れやすいという意味で、腸のバリア機能が損なわれた状態です。

リーキーガットについての詳しい内容は、こちらの記事を参考にしてください。https://glutenfree.empacede.co.jp/leaky-gut/

グルテンの量で分類される小麦粉

最後に、小麦粉とグルテンの関係について触れておきましょう。グルテンはパン生地の発酵と大きく関わっていることを説明しましたが、そのほか、めん類のコシや、練りものの食感を作るためにも使われています。そのため、小麦粉は含まれているグルテンの量で分類されています。

強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉の「力」とは、グルテンの力、すなわち含まれているグルテンの量のことです。パンやピザのように小麦粉に水を加えて練った生地を酵母(イースト)で発酵させる場合、生地に粘り気がないと膨らまないので、グルテンの多い強力粉が使われます。一方ケーキ、クッキー、天ぷらの場合は、弾力・粘着力が弱く、粒度が細かい薄力粉を使います。最もグルテンが多い強力粉では、小麦粉100gに何と12~13.5gのグルテンが含まれています。最も少ない薄力粉でも、7~8.5gのグルテンが含まれています。

準強力粉や中力粉は店頭で見つからない場合もあるので、その場合は強力粉と薄力粉を混ぜて使います。料理のレシピで違う種類の小麦粉を混ぜているのか、グルテンの量を調節しているのですね。一方、グルテンの粉も売られています。こちらは薄力粉に加えて使うというよりも、米粉でパンを作るときに、加えることが多いようです。

小麦粉の種類とグルテン含有量

強力粉 準強力粉 中力粉 薄力粉
グルテン含有量 12~13.5% 9~11.5% 9~10.5% 7~8.5%
弾力・粘着力 強い 弱い
粒度 粗い 細かい
主な用途 パン、ピザ パン、フランスパン、中華麺、パスタ うどん、餃子の皮 ケーキ、クッキー、天ぷら

まとめ

  • 小麦の10~20%はたんぱく質です。たんぱく質は水とエタノールへの溶解性で分類されます。水に溶けないたんぱく質がグルテンです。
  • グルテンはグリアジンとグルテニンという2種類のたんぱく質に水を加えてこねることでできる、ゴムのような粘り気のある物質です。
  • グルテンはアレルゲンとなる部分を含み、またこれに反応する人が他のたんぱく質と比べて異常に高い点が問題です。
  • グルテンは人間の消化酵素で分解されにくく、分解されないまま腸に到達することで、セリアック病や腹部膨満、下痢・腹痛の原因になります。
  • グルテンは腸内でゾヌリンというたんぱく質の分泌を増やします。ゾヌリンは腸のバリア機能の一つである細胞間接着装置を緩めることで、腸の透過性が異常に上がったリーキーガットという状態を起こします。その結果、本来吸収されないものまで吸収され、全身にさまざまな影響を与えます。
  • グルテンは小麦粉の性質に他くかかわっています。そのため小麦粉は含まれているグルテンの量で分類されています。

グルテンフリー食品まとめ

小麦粉を置き換えるには、グルテンの役割をカバーするための知識や技術が必要です。メーカーさんの工夫によって製造されている、おすすめのグルテンフリー食材をカテゴリー別にご紹介!