グルテンフリーの表示ルール、Gluten-freeとGFマークの違い

食品の包装などに「グルテンフリー」「Gluten free」と書いてあることがありますが、これは食品に含まれるグルテン濃度が20ppm未満という意味です。

製造販売事業者による自主表示ですが、一部の国では法律で規定されており、事実と異なる場合は不当表示で処罰の対象になります。

これに対してGFマークは、民間の認証機関が食品に含まれるグルテン濃度が10ppm以下であることを認証したことを示すマークです。

グルテンフリー食品の表示は販売者による自主表示

欧米では食品に“Gluten Free”と表示してあるのをよく見かけます。この表示は製造販売事業者が自らの責任で行っているもので、国や第三者機関がグルテンフリーであることを認証したものではありません。

各国は表示するにあたってのルールを法律などで決めており、製造販売事業者はそれに従って自主的に表示しています。そのため実際にグルテンが含まれていない場合でも、業者の判断でグルテンフリーの表示を行っていない場合もたくさんあります。

また各国間で基準値などが異なると面倒なので、国際機関がグルテンフリー食品の規格を決めており、各国はこれをベースラインとして自国の基準や規格を決めています。国によって多少の違いはありますが、グルテンフリーと表示するための基準はだいたい次の通りです。

  • 小麦、大麦、ライ麦とその交雑種(これらをグルテン含有穀物という)を原料として用いていないこと。
  • グルテン含有穀物を原料として用いている場合は、食品中に含まれるグルテン濃度が20ppm未満(=1kg中に20mg未満)。

なお “no gluten” “free of gluten” “without gluten”という表示もグルテンフリーと同じ意味として取り扱っているところが多いです。

GFCOのGFマークは第三者機関による認証

グルテンフリー認証機構GFCO (Gluten-Free Certification Organization)グルテン不耐症協会GIG (Gluten Intolerance Group) の活動の一環で設立された組織で、グルテンフリー商品の製造販売業者に対して、自社の商品がグルテンフリーであることを認証するサービスを提供しています。

すでに日本を含む28か国の700 以上の企業の23,000 以上の商品が、グルテンフリーであることを認証しています。2019年6月時点でなお日本で対象になっているるのは5社6工場です1)

GFCOの認証を得るためには、

  • 製品中のグルテンの含有量が10ppm以下であること。
  • 食品成分や供給業者の書類審査、定期的な現地立ち入り検査、そして基準を満たすことを保証するための検査結果のモニタリングが行われること。

などが求められます。そしてこれらの要件を満たしたら、下記の認証マークの使用が許可されます。なお従来使用していたGFマークから、右側の新しいマークへの移行が行われています。

GFマークはグルテンフリー表示よりもかなり厳しくなっています

まず食品中のグルテンの含有量が10ppm以下です。次に食品中のグルテン含有量が正しく測定されているか、また製造過程でグルテンが混入しないような措置を講じているかなど、GFCO自身がチェックを行います。さらに認証取得後も、年1回の検査が義務付けられます

この制度が始まった背景には、グルテンフリーと表示してある食品に、実際はグルテンが含まれていたという事例が後を絶たないためです。

GFCOを運営しているGICはセリアック病の患者とその支援者が作る団体です。セリアック病ではグルテンフリー食を摂る以外に治療方法がないため、グルテンを含まない食品を正確に見分ける必要があります。そのためにグルテンフリー表示よりさらに厳格なGFマークにニーズがあるのです。

ノングルテン表示は日本独自の米粉を対象にした認証

ところでGFCOの認証制度よりさらに厳しい認証制度があります。それは農林水産省が「米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン」2) で公表したノングルテン米粉の認証制度です。

ノングルテン米粉としての認証を受けるためには、

  • 製品中のグルテンの含有量が1ppm以下であること。
  • 基準を満たすことを保証するための審査と検査を受けること。

が必要で、日本米粉協会の認証を受けるとノングルテンという表示とロゴマークの使用ができます。

GFCOの認証制度との違いは、

  1. 米粉製品のみが対象であること。
  2. 製品中のグルテン含有量が1ppm以下であること。

の2点です。

認証を受けるには、最初の2年間で25万円ほどかかります。この認証制度は2017年にスタートした新しい制度ですが、2021年5月の時点で認証登録された米粉製品はわずか3つです。

この認証制度の実効性については、かなり疑問があります

そもそも米粉に小麦成分やグルテンが含まれていることは、考えられません。もし仮に混入した場合でも、小麦成分がたんぱく質として数ppm以上含まれている場合は、食品表示法によるアレルゲン表示「小麦」が必要となり、これに違反した場合は国による指示や命令、さらには命令違反の場合は懲役や罰金が科させます。

国内向けには食品表示法による規定、国際的にはGFCOのグルテンフリー認証制度があるにもかかわらず、米粉だけを対象として日本独自の認証制度を作ることに何の意味があるのか、疑問がわきます。

世界のグルテンフリー表示要件の違い

グルテンフリーの表示要件は、食品中のグルテン含有量が20ppm未満との説明をしました。各国の表示要件はおおむねこれと合致していますが、細かい点では違いがあるので、一応紹介しておきます。

コーデックス委員会

コーデックス委員会Codex Alimentarius Commission(国際食品規格委員会)と呼ばれる政府間組織で、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が 1963 年に共同で設立したものです。

日本を含む184 か国とEUが加盟しており、国際的な食品規格を作ることがその役割の一つです。

コーデックス委員会では “Gluten free”についての規格を以下のとおり定めています。

  • 小麦、ライ麦、大麦、オーツ麦ないしはそれらの交雑品種を含まない1つまたはそれ以上の成分のみから構成または製造され、グルテン含有量レベルが合計 20mg/kg(=20ppm)未満であること。
  • グルテンを除去するために特別に加工処理された小麦、ライ麦、大麦、オーツ麦ないしはそれらの交雑品種を含まない1つまたはそれ以上の成分から構成され、グルテン含有量レベルが合計 20mg/kg(=20ppm)未満であること。

またあわせて “Low gluten”についても、以下のように定めています。

  • グルテン含有量を 20mg/kg以上100mg/kg未満まで減少させるために特別に加工処理された小麦、ライ麦、大麦、オーツ麦ないしはそれらの交雑品種を含まない1つまたはそれ以上の成分から構成されること。

コーデックス委員会の規格は、各国が規格を作る際のベースラインになるもので、自国のライフスタイル、環境などに合わせて、これより厳しい規格を作ることも、緩やかな規格をつくることも可能です。

なおコーデックス委員会の規格では、オーツ麦も対象になっています。

オーツ麦にはもともとグルテンは含まれていませんが、オーツ麦を流通させる過程で、小麦、ライ麦、大麦が混入する恐れがあるとの理由で、対象に含まれているとのことです。

アメリカ

アメリカで食品にグルテンフリーという表示をする際には、アメリカの官報に掲載された最終規則に従う必要があります。2020年10月13日に発効した最新の規則の概要は次の通りです3)

  • グルテンは、小麦、大麦、ライ麦とその交雑種(これらをグルテン含有穀物という)に含まれるたんぱく質。
  • グルテン含有穀物は、グルテンフリーという表示はしてはいけない
  • グルテン含有穀物の成分を含む場合、グルテンを除去するように処理した結果、最終食品に含まれるグルテンの量が食品1kgあたり20mg未満(濃度で表示すると20ppm未満)の場合、グルテンフリーという表示をしてもよい。
  • 発酵食品と加水分解食品は次に示す要件を満たす場合のみグルテンフリーの表示をしてよい。
    1.  発酵前・加水分解前の状態でグルテンを全く含まないか、または20ppm未満であること。
    2.  発酵・加水分解の過程で、グルテンが混入する可能性がないか評価し、ある場合は防止措置を講じること。
    3.  ①と②の内容を記録した文書を保管し、検査の際に提示できるようにすること。
  • 食品中のグルテン濃度を測定する方法は特に指定されていない。
  • “no gluten” “free of gluten” “without gluten”という表示をするための要件は、“gluten free”の表示要件と同じである。
  • 本質的にグルテンを含まない食品も、グルテンフリーという表示をしてもよい。例えば、オレンジジュースは通常、グルテンは入っていないが、添加物としてグルテン含有穀物の成分を使う可能性もあるので、グルテンフリーという表示をしてもよい。
  • 表示は食品製造者、食品販売者が自主的に行うことができる。

EU(ヨーロッパ連合)

EUでは2016年7月20日から新しい欧州委員会規則(No828/2014、2014年7月30日公表)が適用されました。概要は次の通りです。

  • グルテンとは、ある特定の人々には耐性がなく、水及び 0.5M 塩化ナトリウム溶液中では不溶性で、小麦・ライ麦・大麦・オーツ麦ないしはそれらの交雑品種及び派生物からのタンパク質分画。
  • 最終消費者への販売時における食品中のグルテン含有量が20mg/kg未満のとき “gluten free”、100mg/kg 未満のとき “very low gluten”と表示できる。
  • 乳児向け調製・補完食品への“gluten free”, “very low gluten”表示は禁止。これはこれらの食品の製造の際に、グルテン含有成分の使用を禁止しているためである。

この規則はEUに加盟する27か国に適用されます。

オーストラリア・ニュージーランド

オーストラリア・ニュージーランド食品安全局(FSANZ)では標準1.2.7などでグルテンに関する表示について規定しています。概要は次の通りです。

  • グルテンは、セリアック病や疱疹状皮膚炎の病状に関連する、小麦、ライ麦、オーツ麦、大麦、ライ小麦、スペルト小麦等の主要タンパク質を指す。
  • グルテンフリーとは、
    1. 検出可能なグルテンを含んでいないこと。
    2. オーツ麦とそれを使った製品を含んでいないこと。
    3. 麦芽処理されたグルテンを含む穀物とそれを使った製品を含んでいないこと。
  • 低グルテンとは食品のグルテン含有量が20ppm未満であること。
  • 食品に含まれるグルテンに関する表示は規則により許可された場合のみ可能。すなわち上記のルール以外の表示は禁止。

なおオーストラリアとニュージーランドではグルテン濃度が3ppm未満の場合、含んでいないと解釈されるとのことです。

オーストラリアとニュージーランドだけは、他国とグルテンフリーの表示要件が異なります。

日本におけるグルテンフリー表示

日本で販売されている食品には、

  • グルテンフリーと表示されているもの。
  • GFCOのGFマークが表示されているもの。
  • 日本米粉協会によるノングルテンの認証がされた米粉製品。

の3つがあります。

このうち、GFCOのGFマークが表示された食品は、グルテン含有量が10ppm以下であることを国際的な第三者機関であるGFCOが認証しています。日本でもGFマークを表示した商品や店舗が20以上存在します。

日本米粉協会のノングルテン認証は、グルテン含有量が1ppm以下であることを認証したものですが、対象が米粉製品のみで、認証を取得した製品が3つしかありません。

一方、グルテンフリーの表示は製造販売事業者が自主的に行っているものです。

日本にはグルテンフリーと表示するのあたってのルールは存在しないので、海外のグルテンフリーの表示とは互換性がないばかりか、仮に大量のグルテンが含まれていたとしても、何ら問題はありません

農林水産省は米粉の普及拡大のためにノングルテン認証の制度を作りましたが、それよりもグルテンフリー表示に関するルールを整備するほうが、急がれると思います。

まとめ

この記事で説明した内容を整理します。

グルテン含有量 備考
グルテンフリー表示 アメリカ 20ppm未満 製造販売事業者による自主表示
EU 20ppm未満
オーストラリア他 3ppm未満
日本 (規定なし)
コーデックス委員会 20ppm未満
GFCOが認証したGFマーク 10ppm以下 第三者機関による認証
ノングルテン米粉 1ppm以下
  • グルテンフリー表示は製造販売事業者による自主表示で、国や第三者機関が認証したものではない。ただ国によっては表示するにあたってのルールを法律で決めているところもある。日本にはルールがない
  • GFマークは、グルテンフリー認証機構GFCOが製品中のグルテン含有量が10ppm以下であることを認証したことを示すマーク。世界28か国で23,000以上の商品に使われている。
  • ノングルテンは、日本米粉協会が米粉製品を対象に、グルテン含有量が1ppm以下であることを認証したもの。2017年からスタートした新しい制度だが、認証を受けた商品は3つだけ。

参考文献
1) GFCO Buyer & Distributor Guide (2019)
https://gluten.org/wp-content/uploads/2019/12/gfco-catalog-2019-1.pdf
2) 米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン、農林水産省(2017)
3) Federal Register: Food Labeling; Gluten-Free Labeling of Fermented or Hydrolyzed Foods (2020)
https://www.federalregister.gov/documents/2020/08/13/2020-17088/food-labeling-gluten-free-labeling-of-fermented-or-hydrolyzed-foods

グルテンフリー食品まとめ

小麦粉を置き換えるには、グルテンの役割をカバーするための知識や技術が必要です。メーカーさんの工夫によって製造されている、おすすめのグルテンフリー食材をカテゴリー別にご紹介!