グルテンフリーラーメンでよく使われる麺は、米粉麺、玄米麺、こんにゃく麺、はるさめの 4 つです。この中で、低カロリーのこんにゃく麺は、若い女性に人気なんだそうです。でも、こんにゃく麺がすべてグルテンフリーというわけではありません。小麦粉が入ったこんにゃく麺や、こんにゃく粉が入っていないこんにゃく麺もあります。
低カロリーでグルテンフリーのこんにゃく麺は欧米で広まった
こんにゃくは、コンニャク(サトイモ科の植物)の地下茎に含まれるグルコマンナンという多糖類を、アルカリで凝固させたものです。板状にしたもののほか、球状にした玉コンニャクや、原料を細い穴から押し出したのちに凝固させたしらたき(糸こんにゃく)など、いろいろな種類のものがあります。
主成分のグルコマンナンは、グルコースとマンノース(いずれも単糖類)が結合した多糖類で、水分と一緒になると膨らんで量が増える一方で、消化酵素で分解されないため栄養として吸収されず、水溶性食物繊維として、便秘を解消する効果があるといわれています。
こんにゃくの原料はイモなのでグルテンは含まれていません。また消化・吸収ができないため、カロリーはゼロです。そのため、しらたきが小麦粉パスタの代用品として欧米で人気になりました。欧米では、しらたきを乾燥したものが、Shirataki Noodle(しらたきヌードル)という名前で売られています。
日本のこんにゃく麺にはこんにゃく粉を使っていないものまである!?
一方、日本でも、こんにゃく麺がふつうに手に入るようになりました。最近はカップ麺にも、こんにゃく麺が登場しており、糖質ゼロを売りにしています。世の中、カロリーの摂取を気にしている人がいかに多いことか・・・
一般的にカロリーが高く、食べることに何となく抵抗を感じることが多いラーメンですが、市中のラーメン店でも、カロリーオフのこんにゃく麺をメニューに加えるところが出てきました。
先日、人気のトマトラーメンをいただく機会があり、グルテンフリーにしようと思って、「こんにゃく麺」を注文しました。
運ばれてきたラーメンを食べると、史上最高においしい【こんにゃく麺】でした。麺にコシがあり、こんにゃく臭が全くありません。
後で店員さんに尋ねると、こんにゃく粉は使われておらず、デュラム粉(デュラム小麦の小麦粉)、そば粉などが原材料とのこと。こちらのお店でいうこんにゃく麺というのは、こんにゃくのような食感をした麺のことなんだそうです。
確かに、グルテンフリー、小麦フリーとはどこにも書いてありません。デュラム小麦はパスタの原料になる小麦で、麺にしたとき強いコシが生まれます。
こんにゃく麺に小麦粉が使われているというのは、このお店に限った話ではなく、全国展開している「辛麺屋 桝元」さんのウェブサイトには、つぎのような説明があります。
桝元の辛麺は通称「こんにゃく麺」。こんにゃく麺と言っても糸こんにゃくではありませんし、材料にこんにゃくが含まれている訳でもありません。そば粉と小麦粉が主原料のこんにゃくによく似た食感の独特の麺なのです。食物繊維を多く含み、まさにダイエットに最適。これが桝元の辛麺が若い女性に支持されている理由です。
一方で、このサイトの おすすめ飲食店 > グルテンフリー麺があるラーメン店 で紹介している東京のT’sたんたんさんこんにゃく麺(上写真)や、新横浜ラーメン博物館の八ちゃんラーメンさんのこんにゃく麺(終売・下写真)は、間違いなくグルテンフリーです。
このように、同じ「こんにゃく麺」という名称でも、中身は全く異なるので、注意が必要です。
日本のこんにゃく麺はグルテンフリー・小麦フリーには配慮していない?
ネット通販では、さまざまな種類のこんにゃく麺のラーメン、パスタ、うどんが売られています。こんにゃく粉だけでなく、大豆、卵、でんぷん、食品添加物と、さまざまなものを加えることによって、消化・吸収される炭水化物の量を減らしつつ、味と食感をよくしています。
ラーメンの場合はスープとセットになっている場合が多いのですが、こんにゃく麺がグルテンフリーであっても、スープに小麦由来成分が使われていることがほとんどです。塩ラーメンでさえ、原材料の一部に小麦を含む、と書いてあるのは驚きです。
日本では、こんにゃく麺はグルテンフリー、小麦フリーの食材というより、ダイエッター向きの低カロリー食材なのです。そのため、グルテンや小麦成分を避けたい人への配慮は、必ずしも行われていません。
健康上の理由から、グルテンフリーや小麦フリーをしている方は、こんにゃく麺を食べるときには十分注意してください。
まとめ
- こんにゃく麺は、グルテンフリーで低カロリーであることから、小麦粉パスタの代替品として欧米で広まった。
- 日本のこんにゃく麺は、原材料としてこんにゃく粉が使われているものと、使われていないものがある。こんにゃく粉が使われていなくても、こんにゃくに似た食感の麺という意味で、こんにゃく麺と名乗っている場合がある。
- こんにゃく麺の原材料は、メーカーによって違いがある。小麦、卵、大豆などの特定原材料等が含まれる場合もあるので、注意が必要。
- 欧米とは違って、日本のこんにゃく麺はグルテンフリーや小麦フリーを意識していない。こんにゃく麺がグルテンフリーでも、同梱のスープに小麦成分が使われていることもある。