薬剤師が解説するどこよりも詳しいグルテンフリーガイド

タイプ D

人為的に添加されFODMAP成分を含む食品は摂らない

具体的には、「食品添加物」と「食品として添加されているFODMAP成分」です。これらは、もともと食品に含まれておらず、食品を製造する側が「添加」したものです。目的としては、

  • 食物繊維やデキストリンなどのFODMAP成分の量を増やす
  • 食品の味、食感、形状、保存性を向上させる

などがあります。

自然に含まれているFODMAP成分を避ける前に、人為的に添加されたFODMAP成分を摂るのをやめるべきです。

具体的には、次のような「化学物質」が該当します。食品成分表示を見て、これらの成分が含まれないものを選んでください。なお化学物質名の詳細については、関連記事をご覧ください。

食品添加物 もともと入っていないものを、食品の低コスト化や賞味期限延長のために加えています。安全性は確認されていますが、100%安全とは言い切れませんし、そもそも体にとって異物です。 果糖ぶどう糖液糖
高果糖液糖
セルロース
スクラロース
キシリトール
ソルビトール(ソルビット)
還元麦芽糖
食品として添加されているFODMAP成分 糖や脂肪の吸収速度を抑制する、腸内細菌を増やすなどの目的で、特定保健用食品や機能性表示食品に使われている化学物質で、FODMAPそのものです。なお太りたくないなら、吸収速度を抑制するより、食べる量を減らすべきです。 難消化性デキストリン
ポリデキストロース

次にやめるべきは、FODMAP量の削減効果が高く、判別・置き換えが容易な小麦

小麦はいろいろな食品に使われており、ふだんの生活で口にする機会も多いと思いますが、小麦を使った食品は、すべて高FODMAP食品です。ですから、毎日食べているパン、めん類、粉もの、菓子類を、小麦が含まれない食品で置き換えることで、かなりの量のFODMAPを減らすことができます。

小麦が入っているかどうかは、比較的簡単に見分けられます。まず、パン、めん類、粉ものは、小麦粉が原料であることはわかりますが、容器に入っていたり、包装されたりする食品の場合、小麦が含まれる場合、アレルゲンとして「小麦」と表示するルールになっています。ですから、食品成分表示欄を見ると、小麦が入っているかどうか、すぐに見分けられます。ただ、アレルゲン表示は微量でも小麦が入っておれば、小麦と表示していますが、量が少ない場合や、その食品の使用量が少ない場合は、その食品を避ける必要はありません。具体的には、調味料などです。

原材料欄は、入っている量(重量)が多い順に記載するルールになっています。初めの方に書いてある場合は、多く含まれていると考えてよいでしょう。

ところで、小麦にはグルテンというたんぱく質が含まれており、グルテンを摂らない食生活は「グルテンフリー」として、広まっています。グルテンフリーの食生活を送っている人は多いため、小麦を使わないグルテンフリーの食材は比較的容易に入手できます。例えば、グルテンフリーのパンやめん類も、市販されています。

また、小麦に含まれるグルテンやATIというたんぱく質は、消化されにくく、人によっては腹痛、下痢、腹部膨満の原因になることもわかっています。あなたは、自分のお腹の調子が悪い原因は、FODMAPだと思っているかもしれませんが、グルテンやATIが関係している可能性もあります。ですから、一度、小麦を含むものはすべて抜いて、他の食材で置き換えてみることをお勧めします。

あわせて、分解・吸収されないラクトースを含む乳製品も摂らない

「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロし、ときには下痢をすることがあった」というあなたは、乳製品に含まれるラクトース(乳糖)を分解できない可能性があります。でも、心配する必要はありません。日本人の4人に3人は、牛乳に多く含まれるラクトースを分解できないのです。分解できないと、ラクトースは腸内細菌のエサになってガスが発生して腹部膨満が起きるか、あるいは分解されずに大腸へ送られ下痢になるか、のいずれかです。

乳製品の中には、プロセスチーズやバターのように、ラクトースを含まないものもあります。これらは低FODMAP食品に分類されますが、まれにチーズに含まれるたんぱく質であるカゼインで、腹部膨満、腹痛、下痢、便秘が起きることがありますので、注意してください。

野菜・果物・きのこはいろいろなものをバランスよく摂ればよい

野菜・果物・きのこには、FODMAP成分を含むものが多くありますが、そもそも種類が多く、また料理によって使う量が違うので、特定の食品だけを抜くというのは、現実的ではありません。例えばFODMAP成分でフルクタンを多く含むことで知られるたまねぎは、いろいろなメニューで使われます。たまねぎを完全に抜くということになると、外でカレーや牛丼を食べることができなくなります。

FODMAP成分を含む食品は、ほかにもたくさんあります。低FODMAPの食品を多く食べるのと、高FODMAPの食品を少量食べるのとでは、結果的に同じことになります。

ですから、

  • 高FODMAPのものはできるだけ避け、可能な限り、低FODMAPのもので置き換える(完全に避ける必要はない)
  • 高FODMAPのものを食べる(使う)場合は、量を減らす
  • 同じものを大量に、あるいは続けて摂らない

という対応をすれば、FODMAPによる影響を回避できるのではないかと思います。

なお、野菜・きのこ・果物に含まれるFODMAP量の試算結果は、関連記事をご覧ください。

まとめ

  1. FODMAP成分が添加されている食品は摂らない。具体的な化学物質名は次のとおり。
    果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖、セルロース(CMC、HPMCを含む)、スクラロース
    キシリトール、ソルビトール(ソルビット)、還元麦芽糖、難消化性デキストリン
    ポリデキストロース
  2. 小麦を含む食品は摂らない。調味料など少量しか入っていないものは摂ってもかまわない。
  3. 乳製品は摂らない。
  4. 野菜・果物・きのこは、いろいろなものをバランスよく摂る。

グルテンフリー食品まとめ

小麦粉を置き換えるには、グルテンの役割をカバーするための知識や技術が必要です。メーカーさんの工夫によって製造されている、おすすめのグルテンフリー食材をカテゴリー別にご紹介!