タイプ A
食物繊維やオリゴ糖を含むサプリメントや健康食品はやめる
食物繊維やオリゴ糖は、腸内細菌のうち、善玉菌と呼ばれる菌を増やすため、腸内環境を改善してお通じをよくする効果があるといわれています。日頃からおなかに不調がない人には、悪影響はありませんが、食物繊維もオリゴ糖もFODMAPそのものであり、腹部膨満、腹痛、下痢の原因になる物質です。おなかの調子をよくしようと思って摂っているものが、逆におなかの調子を悪くしている可能性があります。
低FODMAPの食生活にチャレンジするのですから、FODMAPを含むサプリメントや健康食品は、摂るのをやめましょう。食物繊維やオリゴ糖以外の成分で、何がFODMAPに該当するかについては、関連記事をご覧ください。
ふだんからお腹の調子が悪い人は、FODMAP(フォドマップ)という成分が関係しているかもしれません。 FODMAPとは、人間が消化・吸収できない炭水化物で、食物繊維も含まれます。腸活によいといわれている食物繊維が、おなかの調子を悪くし[…]
人為的に添加されFODMAP成分を含む食品は摂らない
具体的には、「食品添加物」と「食品として添加されているFODMAP成分」です。これらは、もともと食品に含まれておらず、食品を製造する側が「添加」したものです。目的としては、
- 食物繊維やデキストリンなどのFODMAP成分の量を増やす
- 食品の味、食感、形状、保存性を向上させる
などがあります。
自然に含まれているFODMAP成分を避ける前に、人為的に添加されたFODMAP成分を摂るのをやめるべきです。
具体的には、次のような「化学物質」が該当します。食品成分表示を見て、これらの成分が含まれないものを選んでください。なお化学物質名の詳細については、関連記事をご覧ください。
食品添加物 | もともと入っていないものを、食品の低コスト化や賞味期限延長のために加えています。安全性は確認されていますが、100%安全とは言い切れませんし、そもそも体にとって異物です。 | 果糖ぶどう糖液糖 高果糖液糖 セルロース スクラロース キシリトール ソルビトール(ソルビット) 還元麦芽糖 |
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食品として添加されているFODMAP成分 | 糖や脂肪の吸収速度を抑制する、腸内細菌を増やすなどの目的で、特定保健用食品や機能性表示食品に使われている化学物質で、FODMAPそのものです。なお太りたくないなら、吸収速度を抑制するより、食べる量を減らすべきです。 | 難消化性デキストリン ポリデキストロース |
次にやめるべきは、FODMAP量の削減効果が高く、判別・置き換えが容易な小麦
小麦はいろいろな食品に使われており、ふだんの生活で口にする機会も多いと思いますが、小麦を使った食品は、すべて高FODMAP食品です。ですから、毎日食べているパン、めん類、粉もの、菓子類を、小麦が含まれない食品で置き換えることで、かなりの量のFODMAPを減らすことができます。
小麦が入っているかどうかは、比較的簡単に見分けられます。まず、パン、めん類、粉ものは、小麦粉が原料であることはわかりますが、容器に入っていたり、包装されたりする食品の場合、小麦が含まれる場合、アレルゲンとして「小麦」と表示するルールになっています。ですから、食品成分表示欄を見ると、小麦が入っているかどうか、すぐに見分けられます。ただ、アレルゲン表示は微量でも小麦が入っておれば、小麦と表示していますが、量が少ない場合や、その食品の使用量が少ない場合は、その食品を避ける必要はありません。具体的には、調味料などです。
原材料欄は、入っている量(重量)が多い順に記載するルールになっています。初めの方に書いてある場合は、多く含まれていると考えてよいでしょう。
ところで、小麦にはグルテンというたんぱく質が含まれており、グルテンを摂らない食生活は「グルテンフリー」として、広まっています。グルテンフリーの食生活を送っている人は多いため、小麦を使わないグルテンフリーの食材は比較的容易に入手できます。例えば、グルテンフリーのパンやめん類も、市販されています。
また、小麦に含まれるグルテンやATIというたんぱく質は、消化されにくく、人によっては腹痛、下痢、腹部膨満の原因になることもわかっています。あなたは、自分のお腹の調子が悪い原因は、FODMAPだと思っているかもしれませんが、グルテンやATIが関係している可能性もあります。ですから、一度、小麦を含むものはすべて抜いて、他の食材で置き換えてみることをお勧めします。
あわせて、分解・吸収されないラクトースを含む乳製品も摂らない
「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロし、ときには下痢をすることがあった」というあなたは、乳製品に含まれるラクトース(乳糖)を分解できない可能性があります。でも、心配する必要はありません。日本人の4人に3人は、牛乳に多く含まれるラクトースを分解できないのです。分解できないと、ラクトースは腸内細菌のエサになってガスが発生して腹部膨満が起きるか、あるいは分解されずに大腸へ送られ下痢になるか、のいずれかです。
乳製品の中には、プロセスチーズやバターのように、ラクトースを含まないものもあります。これらは低FODMAP食品に分類されますが、まれにチーズに含まれるたんぱく質であるカゼインで、腹部膨満、腹痛、下痢、便秘が起きることがありますので、注意してください。
甘い果物を一度にたくさん摂らない
甘い果物にはフルクトース(果糖)という糖類が含まれています。フルクトースはグルコースやガラクトースと同様、小腸で吸収され栄養源となるのですが、フルクトースだけが他の2種類の糖類と吸収メカニズムが異なります。フルクトースは、グルコースと同じ量しか吸収されないため、吸収されなかったフルクトースは、すべて腸内細菌のエサになります。食物繊維やオリゴ糖は、分子量が大きいため、腸内細菌が食べるのに時間がかかりますが、フルクトースは分子量が小さいため、あっという間に食べられて、ガスになります。このため、フルクトースを多く含む食品を摂ると、腸内細菌の働きで、短時間に大量のガスが腸内で発生し、腹部膨満、腹痛や、腸壁が刺激されることによる下痢が起きることがよくあります。
果物は、ビタミンやミネラルを含むので、積極的に摂ったほうがよいのですが、一度に大量の果物を摂る、同じ種類の果物を連続して摂る、ということは、止めるべきです。特にFODMAPが多く含まれる、りんご、西洋なし、なし、すいかは、控えたほうがよいと思います。
野菜・きのこはいろいろなものをバランスよく摂ればよい
野菜・きのこには、FODMAP成分を含むものが多くありますが、そもそも種類が多く、また料理によって使う量が違うので、特定の食品だけを抜くというのは、現実的ではありません。例えばFODMAP成分でフルクタンを多く含むことで知られるたまねぎは、いろいろなメニューで使われます。たまねぎを完全に抜くということになると、外でカレーや牛丼を食べることができなくなります。
FODMAP成分を含む食品は、ほかにもたくさんあります。低FODMAPの食品を多く食べるのと、高FODMAPの食品を少量食べるのとでは、結果的に同じことになります。
ですから、
- 高FODMAPのものはできるだけ避け、可能な限り、低FODMAPのもので置き換える(完全に避ける必要はない)
- 高FODMAPのものを食べる(使う)場合は、量を減らす
- 同じものを大量に、あるいは続けて摂らない
という対応をすれば、FODMAPによる影響を回避できるのではないかと思います。
なお、野菜・きのこ・果物に含まれるFODMAP量の試算結果は、関連記事をご覧ください。
まとめ
- 食物繊維やオリゴ糖を含むサプリメントや健康食品はやめる
- FODMAP成分が添加されている食品は摂らない。具体的な化学物質名は次のとおり。
果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖、セルロース(CMC、HPMCを含む)、スクラロース
キシリトール、ソルビトール(ソルビット)、還元麦芽糖、難消化性デキストリン
ポリデキストロース - 小麦を含む食品は摂らない。調味料など少量しか入っていないものは摂ってもかまわない。
- 乳製品は摂らない。
- 甘い果物を一度に大量に摂らない。りんご、西洋なし、なし、すいかは控える。
- 野菜・きのこは、いろいろなものをバランスよく摂る。
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