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こどもの好き嫌いはアレルギーの可能性も 無理に食べさせない方がよい

こどもに食べ物の好き嫌いはつきものです。でも好き嫌いがあると、栄養摂取の点で問題がある、集団生活に支障を来たす、料理のレパートリーが制限される、などの理由から、好き嫌いはできるだけなくした方がよいと考えますよね。でも無理やり食べさせた方がよいのでしょうか。こどものころから、メロン、スイカ、きゅうりなどを食べたときに口の内に違和感を感じるという知人がおり、話をよく聞くと、口腔アレルギー症候群らしいのです。無理して食べ続けていたら、悪化していた可能性もあります。

食べたときの違和感を感じるのは食物アレルギー

食べ物を口にしたとき、「変な感じがする」「口の中がイガイガする」「おいしく感じない」ということはよくあります。それは人間が生まれつき持っている本能で、その食べ物を食べるのを避けるように、脳が指令しているのです。

知人でメロン、スイカ、きゅうりが苦手な人がいます。こどものころから食べると喉の奥がピリピリするので、おいしいと感じたことがなかったそうです。幸いに無理やり食べさせられることもなく育ったようですが、この感覚は現在も続いているそうです。

この症状は、食物アレルギーの一種である口腔アレルギー症候群(OAS:Oral Allergy Syndorome)と考えられます。原因となる食物を食べた直後から30分以内に、口の中、唇、喉にかゆみやイガイガした感じが生じ、唇が腫れたり、喉が圧迫されたような感じがするものです。このタイプの食物アレルギーは、花粉・食物アレルギー症候群(PFAS:Pollen-Food Allergy Syndrome)の症状として起こることが多いといわれています。

近年、花粉症や食物アレルギーは増加の一途をたどっています。花粉症と野菜や果物による食物アレルギーは深い関係があり、花粉症にかかった人が、その植物と近い「科」に属する野菜や果物にアレルギー反応を起こすことがわかっています。これを交差反応といいます。

花粉症は植物の花粉に含まれるたんぱく質が原因で起こるアレルギー反応ですが、このたんぱく質と構造が似た別のたんぱく質にアレルギー反応を示すことがあるのです。

この知人は中学生の時に花粉症を発症しましたが、スギ、ヒノキ、ブタクサの花粉の影響を受けているようです。ブタクサ(キク科)はキュウリ、ズッキーニ、メロン、スイカ(いずれもウリ科)と交差反応を示すことが知られています1)

無理に食べさせずに小児科を受診してください

違和感を生じるということは、食べ物に入っている微量のたんぱく質が抗原となり、すでに体の中にできている抗体と結びつくことで、アレルギー反応が起きている可能性があります。口にしたとき違和感を覚えれば、「おいしい」「もっと食べたい」とは思わないので、食べるのを嫌がるようになります。

食べ物を嫌いになるのには、何か理由があるはずです。好き嫌いを単なる「わがまま」と言わず、その理由を考えてみてはどうでしょうか。

理由が分かれば、それに対する対処もできるはずです。以前、その食べ物を食べた際、嫌な経験をして、それがトラウマになっているということもあるでしょう。その場合は、精神的なこと原因なので、取り除くことができるかもしれません。一方で免疫反応に関わることが原因の場合は、無理やり食べさせるのではなく、対応法を慎重に検討する必要があります。

乳幼児、小児の食物アレルギーについては、厚生労働省が対処法の指針を出しており、医師はそれに従って治療をしてくれます。「好き嫌い=わがまま」と片付ず、小児科を受診してみてはどうでしょうか。

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参考文献

1)日本小児アレルギー学会、食物アレルギー診療ガイドライン2016ダイジェスト版

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