グルテンフリーの食品選びのポイント【主食編】

米粉パン

米粉パン、イコール、グルテンフリーではない

米粉パンや玄米パンを街でよく見かけるようになりました。グルテンを摂りたくない人は、小麦粉を使った普通のパンの代わりに食べようと思われるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。米粉パン、玄米パンの中には、グルテンが入っているものがあり、しかも普通のパンよりグルテンの量が多いことさえあるのです。

米粉パンには4種類あります。

  1. 小麦粉に米粉を加えることで、もちっとした食感を生み出したパン
  2. 米粉にグルテンを加えることで、小麦パンと同じように膨らむようにしたパン
  3. 米粉に他のでん粉や増粘剤を加えて、小麦パンに近い膨らみ具合、食感が出るようにしたパン
  4. 米粉だけから作られたパン

このうち、グルテンフリーの米粉パンは、③と④だけです。パン屋さんで売られている米粉パンの多くは①と②です。①は小麦粉に米粉を10~20%加えているものですが、米粉の割合が20%を超えると、パンが膨らまなくなるそうです1)。②はパン用の米粉という規格があり、小麦粉は入っていませんが、小麦たんぱくであるグルテンが18~20%添加されています2)。製パン用の強力粉の場合、グルテンの量は重量の約13%なので、②の米粉パンの方がたくさんのグルテンが入っていることになります。

グルテンがあるからパンが膨らむ!

パンは、小麦粉でできた生地を酵母(イースト菌)で発酵させ、膨らましてから焼くため、ふわふわになります。酵母は小麦粉の成分であるでんぷんをグルコースに分解しながら、グルコースから二酸化炭素(CO2)とエタノールを作っています。細かい網目状のたんぱく質であるグルテンがあるため、二酸化炭素の気泡が生地の中に閉じ込められます。そのため二酸化炭素によって、パン生地が膨らむのです。

ふつうのパンは小麦粉の中でも、グルテンが多く含まれる強力粉を使って作られます。グルテンが少ないと、発酵でできた二酸化炭素が、閉じ込められずに生地の外に出て行ってしまうため、パンはうまく膨れません。グルテンの多い強力粉と、グルテンの少ない薄力粉で作ったパンと比較すると、一目瞭然です。

強力粉で作ったパンと薄力粉で作ったパン

ですから、小麦粉を使わない米粉パンをうまく膨らませるために、グルテンを加えている場合が多いのです。自宅で米粉パンを作るとき、製パン用の米粉を買うと思いますが、くれぐれも注意してください。「グルテンフリー」あるいは「ノングルテン」という表示がない限り、製パン用の米粉には、グルテンが18~20%添加されています。

グルテンが入っている米粉と、グルテンが入っていない米粉で、それぞれ焼いたパンを見てください。グルテンが入っていないほうは、パンが膨れていません。

グルテンを添加した米粉と添加しない米粉で作ったパン

増粘剤で米粉パンを膨らませる

グルテンが入っていない米粉パンを作るために、さまざまな研究が進められています。パンを膨らませるには、パン酵母がつくる二酸化炭素をパン生地の中に閉じ込める必要があります。生地の粘度を高くして、二酸化炭素が生地の中に留まるようにするのが、増粘剤です。

米粉パンの成分表示に、グアーガムやHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)といった成分が載っていることがあります。グアーガムは、グアー豆から得られる天然多糖類で、増粘剤、安定剤、ゲル化剤として用いられます。人間は消化・吸収することができないため、カロリーはゼロです。しかも血糖値上昇抑制作用、コレステロール低下作用、便通改善などの効果があります。グアーガムを加えることで、生地の粘度を上げて、パン酵母が作る二酸化炭素を、生地の中に閉じ込めやすくします。

もう一つのHPMCは、綿や樹木に含まれるセルロースを原料にして、化学反応によってつくられる多糖類で、増粘剤や糊料として使われています、こちらも人間は消化・吸収できないため、カロリーはゼロですが、グアーガムのような生理効果はありません。HPMCを加えることで、生地の粘度を上げることによって、パン酵母が作る二酸化炭素を、生地の中に閉じ込めます。

グアーガム、HPMCとも、安全は確認されていますが、慢性的な腹部膨満感や下痢の症状がある人は、避けたほうがよいと思います。また、どちらか選択するということならば、化学反応を経ていないグアーガムの方をお勧めします。

米粉の改良でパンを膨らませる

最近、食品添加物なしのグルテンフリー米粉が発売されています。いったい、どんな工夫をしているのでしょうか。

  1. 製粉方法の工夫
    お米を粉にする方法はいくつかあり、方法によって、米粉の粒径、形状(尖っているか、丸いか)、でんぷんの損傷度合いが異なります。研究の結果、粒径が細かく、損傷でんぷんか少ない米粉が、製パン適していることがわかっています1)
  2. 品種
    お米のでんぷんは、グルコースが直鎖状につながったアミロースと、グルコースの鎖が枝分かれしているアミロペクチンに分けられます。ちなみにふだん食べているごはんは、アミロースが17~23%、もち米はアミロースが0%です。グルテン添加米粉パンでの研究結果ですが、アミロース含量が25%前後で、もっともよくパンが膨れたそうです1)。国の研究所で作られたミズホチカラは、米粉に製粉するときのデンプンの損傷が少ない品種です3)
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玄米フレーク

ほとんどの玄米フレークには小麦が入っている!?

玄米フレークは玄米を主原料としたシリアルで、牛乳と一緒に食べると、糖質が低い一方でカルシウム、鉄分、ビタミンが豊富な食事になることから、人気があります。

玄米フレーク玄米フレーク

でも、裏の原材料表示を見てください。ほとんどの玄米フレークには小麦が使われています。原材料表示は、入っている重量が多い順に書くルールになっていますが、入っている量はわかりません。またよくよく見ると、大部分のミネラルやビタミンは、食品添加物として加えられています。ようするに、玄米にサプリをトッピングして食べているようなものですね。いずれにしても「玄米」という名前だけで判断せず、原材料表示、アレルギー表示も確認してくださいね。

玄米フレーク成分表示玄米フレーク原材料表示

グラノーラ

オーツ麦(燕麦)にはグルテンは入っていないが、原材料を確認

グラノーラは、オーツ麦(燕麦)を加工したものに、玄米、とうもろこし、小麦などの穀物を加え、さらにナッツ類、砂糖。はちみつなどを混ぜてオーブンで焼いたシリアル食品の一つで、手軽に栄養が摂れ、味もおいしいと評判です。ドライフルーツを混ぜたものも発売されており、牛乳やヨーグルトをかけて食べると、栄養価が高いわりには、炭水化物が少ないため、ダイエット食としても人気があります。

グラノーラ玄米グラノーラ

グラノーラにはさまざまな原材料や食品添加物が使われています。原材料欄を見ると、クラクラしますよね。でも、丹念に調べてください。オーツ麦にはグルテンは含まれていませんが、たいてい小麦、大麦、ライ麦が含まれているようです。欧米では、グルテンフリーのグラノーラもよく見かけますが、グルテンフリーが一般的でない日本では、取り立てて何の表示もありません。アレルギー物質として小麦が表示されていない場合でも、大麦、ライ麦が入っている場合はグルテンが含まれますので、必ず原材料表示を確認してください。

グラノーラ玄米原材料成分グラノーラ原材料成分

そば

十割そば以外はグルテンが入っている

蕎麦はそば粉から作られるのですが、ほとんどのそばには、小麦粉や小麦たんぱく(グルテン)が入っています。そば粉より小麦粉や小麦たんぱくの方がたくさん入っているものも珍しくありません。

そばは、そば粉に水を加えてこねた生地を細かく刻んで麺にしますが、そば粉だけでは粘り気が少なく、麺ができなかったり、麺になっても千切れやすくなったりするため、生地を作る際につなぎを加えます。

つなぎとして最もよく使われるのが小麦粉ですが、小麦たんぱく、鶏卵、フノリ(海草の一種)、長芋も使われます。一方、十割そばはそば粉だけで作ったそばで、切れにくくなるようにいろいろな工夫がされているようです。

そばそば

そばは、食品スーパーなどで干しそばや生めんを購入して、おうちで茹でて食べる場合と、蕎麦屋などで食べる場合があると思います。干しそばや生めんは原材料が記載されているので、グルテンが入っているかどうか、確認できます。市販の干しそばの原材料をいくつか調べた結果は、次の通りです。なお原材料名は、原材料に占める重量の割合の多いもの、つまり多く使われている順に表示することになっています。

・十割そば…そば粉
・八割そば…そば粉、小麦たん白、小麦粉 (別にそば粉を「八割使用」との記載あり)
・信州そば…小麦粉、そば粉、食塩
・おそば…小麦粉、そば粉、小麦たんぱく、食塩

そば乾麺そば 乾麺

十割そば成分表示そば成分表示そばの成分表示

そば粉が30%以上なら、そばと表示してよい

十割そばにはグルテンは入っていませんが、それ以外の製品にはグルテンが入っています。特に驚いたのは、八割そばというのは、そば粉:小麦粉=8:2ではなく、そば粉が8割で、残りの2は通常の小麦粉よりグルテンが多いということです。そこまでグルテンを入れる必要があるんでしょうか。また、信州そば、おそばという名前で売られているものは、そば粉より小麦粉の方が多いんですね。ちなみに、そば粉が30%入っていれば、そばと表示してよいルールになっているそうです。たった30%というのは、どうなんでしょうか。そば風味うどんのような気がします。

外食のそばは表示義務なし、そば粉10%でも、そば!?

つぎに、蕎麦屋のそばなど、飲食店で提供される食品には、原材料表示はおろか、アレルギー表示の義務もありません。十割そば、という名前を信用するしかありませんが、グルテンを避けている方は、念のため、お店の方に、小麦粉、小麦たん白(グルテン)は使っていないか、確認したほうがよいでしょう。また乾麺については、そば粉が30%以上入っていなければ、そばと表示できない、というルールがあることを説明しましたが、飲食店で提供される食品には、適用されません。雑誌の記事4)によると、立ち食いソバでは、そば粉が10~20%で、残りは小麦粉という麺が、そばとして提供されていることもあるらしいです。なお、名誉のために書いておきますが、富士そばはそば粉40%、ゆで太郎はそば粉50%だそうです。

十割そばは、熟練の技と工夫の賜物

最後に、十割そばで麺が千切れないために、どんな工夫をしているのか、Wikipediaから紹介します。

・そば粉に湯を加えて、そば粉のでん粉の糊化を促進する。
・そば粉を糊化させたものを別に用意して、つなぎとして使う。
・そば粉を製粉する際、通常より細かくする。

などの方法があるそうです。いずれにしても、熟練の技が必要なのですね。

グルテンフリーそばをさがす

そばはそば粉から作られるのですが、そば粉だけでは粘り気が少なく、麺が千切れやすくなるため、ほとんどのそばには、つなぎとして小麦粉や小麦たんぱく(グルテン)が入っています。 二八そばが有名ですが、これはそば粉8に対し、小麦粉を2加えて製[…]

ビーフン

ビーフンは米粉が原料?

ビーフンはインディカ種のうるち米を原料とする麺で、中国語で「米粉」と書きます。米粉から作られているものと思いますよね。でも米粉以外のでんぷんを原料にしている場合も増えているとか。理由は、コストダウンと品質改善だそうです。

日本で売られているビーフンを調べてみました。

日本メーカーのものはグルテンフリー認証の製品もある


まず、最も長く販売されている焼ビーフンブランドとして、ギネス世界記録に認定された「ケンミン焼ビーフン」(ケンミン食品株式会社)。ゆで戻し・調味料不要で、世界一簡単に美味しく料理できる米めん商品として、年間約1500万食を製造・販売しているそうです。定番商品の「ケンミン焼きビーフン鶏だし醤油」の原材料は、米、でん粉、しょうゆ、食塩、ポークエキス、チキンエキス、香辛料、砂糖、酵母エキス/調味料(アミノ酸等)、グリセリン脂肪酸エステル、リン酸塩(Na)、糊料(繊維素グリコール酸Na)、着色料(カラメル、ビタミンB2)、ショ糖脂肪酸エステル、酸化防止剤(ローズマリー抽出物)、(原材料の一部に小麦、大豆、鶏肉、豚肉を含む)となっています。なお同社のウェブサイトによりますと、小麦はしょうゆ由来と明記してあるので、グルテンは含まれていないと考えてよいでしょう。小麦アレルギーの方は、しょうゆはOKなので。

  • 小麦アレルギー → 食べても大丈夫
  • セリアック病 → 食べてはいけない(グルテンフリーの定義から外れるため)
  • ノンセリアックグルテン過敏症 → 食べても大丈夫

となります。

おなじくケンミン食品が販売している「お米100%ビーフン」と「スープ専用ビーフン」。こちらはGFCOのグルテンフリー認証を取得した商品で、原材料は、お米100%ビーフンが米のみ、スープ専用ビーフンが米、でん粉となっています。いずれも小麦を扱わない、タイの自社工場で生産されているとのことです。

新竹米粉はトウモロコシ粉の方が多く、小麦粉が含まれるものも

ビーフンの名産地と言えば、台湾の新竹市。新竹市は米の生産地であり、冬にビーフンの乾燥に適した、冷たく乾燥した季節風が吹くことから、ビーフンの生産が盛んになったそうです。「新竹米粉」はビーフンのブランド名になっており、日本にもたくさん輸出されています。

新竹ビーフンで最もポピュラーな商品は、虎印(虎牌)です。この商品の原材料は、コーンスターチ(とうもろこしでん粉)と米粉です。つまり、米粉より、コーンスターチの方が多く含まれているということです。コーンスターチを添加すると、茹でたあとに伸びにくくなり、食味が増すそうです。また、原材料のコストを下げる目的もあるそうです。

友盛貿易の新竹ビーフンは、原材料はコーンスターチ、米、リン酸塩、増粘剤(ポリアクリル酸Na、CMC-Na)となっています。

この商品の原材料は、米、コーンスターチ、小麦粉、乳化剤、増粘剤(CMC)です。米が一番多く含まれていますが、小麦粉が入っているうえに、乳化剤や増粘剤といった食品添加物が使われています。ビーフンは米から作られていると思っていましたが、小麦粉が使われている製品もあるので、注意が必要です。

グルテンフリーめんをさがす

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トルティーヤ

もともとはトウモロコシから作られるが、小麦粉から作る場合もある

トルティーヤ

トルティーヤ

トルティーヤは、すりつぶしたトウモロコシで作った生地を焼いた薄焼きパンで、野菜や肉を巻いたものが、コンビニで売られるようになりました。色とりどりの生地に鮮やかや具材が乗っていて、食欲をそそります。サンドイッチに比べて、生地の部分の割合が少ないので、糖質を控えたい人にもおススメです。

トルティーヤはもともとアメリカ南西部やメキシコが発祥で、各家庭でトウモロコシの粒にアルカリを混ぜてすりつぶして、生地を作っていたそうです。ところが生地に粘り気が出ないため、小麦粉を加えるようになり、現在では小麦粉だけから作られたトルティーヤもあります。トルティーヤといえば、トウモロコシと思われがちですが、小麦粉を使っている場合もあるので、よく確認してください。

ところで、タコスはトルティーヤに具材を盛り、サルサソースをかけたメキシコを代表する料理で、日本でもよく知られるようになりました。またトルティーヤチップスは、トルティーヤを小さく切って油で揚げたもので、ポテトチップスと同様、スナック菓子として販売されています。いずれにしても、トウモロコシから作ったものと、小麦粉から作ったものがあるので、購入する際に原材料表示を確認してください。ちなみに写真のトルティーヤチップスは、トウモロコシが原料です。

トルティーヤチップス

トルティーヤチップス


参考文献
1) 與座 宏一、米粉パンの比容積に影響を与える因子、食糧~その科学と技術~、55, 51-62 (2017)
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/shokuryo55-51.pdf
2) 米粉の用途別基準、米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン、農林水産省(2017
https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/attach/pdf/index-56.pdf
3) ミズホチカラ、農研機構ウェブサイト
https://www.naro.affrc.go.jp/project/results/research_digest/digest_kind/digest_rice/027168.html
4) SAPIO2014年8月号記事

グルテンフリー食品まとめ

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