エンゼルスの大谷翔平選手の活躍は、コロナ禍でも人々に希望の光を与えてくれますね。先日のオールスターゲームで、両チームの選手達から握手やサインを求められる姿が報道されていて、「二刀流」で結果を出すことがいかに難しく、リスペクトを集めることなのだと改めて実感しました。そんな大谷選手、グルテンフリーを実践しているんだとか。
大谷翔平選手はグルテンフリー実践者!?
わたしがグルテンフリーを知り、実践するようになったきっかけの一つは、プロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手の本を手にしたことです。
プロスポーツ選手で、グルテンフリーをしている人は少なくないようで、日本のプロ野球界でもオフシーズンになると、「○○選手がグルテンフリーで食事を改善」というニュースをしばしば見かけます。
ネットの記事で紹介されていた選手だけでも、
○ 巨人 菅野 智之 選手
○ 巨人 古川 侑利 選手
○ 広島 菊池 涼介 選手
○ 日本ハム 谷口 雄也 選手
○ 楽天 池田 隆英 選手
などが、グルテンフリーを取り入れているそうです。
そんななか、今シーズン前半戦に大谷選手がホームランを量産し始めたころ、「シーズン前に血液検査を受けて、自身のからだに合わない卵とグルテンを摂らないことにした」との記事を見かけました。
あの大活躍のうらに、グルテンフリーあり!
なんだか嬉しくなってしまいます。ふふふ。
大谷翔平選手が受けた血液検査ってどんなもの?
ところで、自身のからだに合わない食材を調べる血液検査って、どんなものなんでしょう?
ちょっと当サイトを管理している薬剤師に聞いてみました。
IgE 抗体検査と考えられます
大谷翔平選手は、今シーズン前に血液検査を受けて、グルテンを含む食べものに加えて、卵も抜くことにしたそうです。
この血液検査のひとつは、おそらく「IgE 抗体検査」ではないかと思われます。これは、特定の食物成分に対して、体の中に抗体ができているかどうかを調べるものです。もし、あなたのからだが卵の成分を、自分にとって「異物」、すなわち、排除すべき対象物と判断するならば、体内に卵に対する IgE 抗体ができます。卵を異物と判断しなければ、卵に対する IgE 抗体はできません。
ある食物成分を自分にとっての「異物」と判断しているということは、その食物成分があなたのからだに何らかの危害を与えている可能性もあります。危害といってもいろいろあり、症状が軽い場合もたくさんあります。
いちばんわかりやすい症状は、腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘など、消化器系で見られるものです。集中力を必要とするスポーツ選手でこのようなことが起きると、パフォーマンス低下につながります。IgE 抗体検査で、卵に対する IgE 抗体の存在がわかったため、卵の摂取を控えるということは、十分考えられます。
なおグルテンに関する検査については、関連記事に詳しい説明がありますので、ご覧ください。
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プロスポーツ選手がグルテンフリーにするのはなぜ?パフォーマンスはあがるの?
からだが資本のプロスポーツ選手にとって、食事が大切なのはよくわかるのですが、お肉やプロテインで筋力アップするのと違って、グルテンフリーでパフォーマンスがあがるのは、いまいちイメージしにくいですよね。
もちろん筆者はグルテンフリーにすることによって、長年の不調から解放されたので、日常生活の質があがるのは実感しているのですが…。
プロスポーツ選手がグルテンフリーにする理由を、聞いてみました。
胃腸への負担軽減です!
プロスポーツ選手でグルテンフリーの食事を摂っている人は多いのですが、その一番の理由は、胃腸への負担の軽減です。
グルテンはもともと消化・吸収が悪いため、グルテンが入った食べものを大量に食べると、胃腸に負担がかかります。腸に長い時間とどまり続け、腸内細菌に分解されてガスが発生したり、腹痛や下痢を引き起こすこともあります。
さらに脳と腸は密接に関係しているため、お腹の不調がストレスを呼び、最高のパフォーマンスを発揮できません。
なるほど! プロスポーツ選手はわたしたちより、さらに精密に体調を管理しているので、グルテンフリーの効果も大きいのかもしれませんね。
スポーツ界ではさらに低 FODMAP に移行している?
最後に、グルテンフリーに関する海外の研究を、医学論文などでウォッチしているHirataが、低FODMAPについても教えてくれました。
なんでも、胃腸に負担をかける食材は、グルテンを含む小麦だけではないので、海外のスポーツ界では、グルテンフリーから低 FODMAP に移行する傾向もみられるとか。
FODMAP は消化・吸収が悪い炭水化物
プロスポーツ選手で、グルテンフリーの食事を摂っている人は多いのですが、最近は低 FODMAP の食事に移行する傾向があるといわれています。
FODMAP というのは、オーストラリアの大学が提唱している概念で、消化・吸収されにくく、胃腸に負担をかけ、腹部膨満(ガスの発生)、腹痛、下痢、便通異常を引き起こす可能性がある、炭水化物の頭文字をとったものです。
F (Fermentable):発酵性の
O (Oligosaccharides):オリゴ糖
D (Disaccharides):二糖類
M (Monosaccharides):単糖類
And
P (Polyols):ポリオール(多価アルコール、糖アルコール)
炭水化物は三大栄養素の一つですが、それを構成する最小単位である単糖類にまで分解されて、初めて小腸で吸収されます。ところが、炭水化物の中には、分解されにくかったり、分解されなかったりするものがあります。それらは、腸内細菌によって分解(発酵)されるのですが、体質によっては、それが体調不良の原因になるのです。
小麦はもともと FODMAPを多く含む食品 に分類されていますので、低 FODMAP の食生活にすることで、グルテンフリーよりも、さらに多くの「胃腸に負担をかける食品成分」を摂らないようにできます。その結果、腹痛、腹部膨満、下痢などを起こすリスクを、かなりの確率で減らすことができます。
どんな食品に、どれだけ含まれているか、具体的に計算したデータがあるので、気になる方はご覧ください。
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好きなものを食べながら、今後も無理せず故障せず、試合に出て勇気を届けてほしいですね。