薬剤師が解説するどこよりも詳しいグルテンフリーガイド

ニキビ、吹き出物、肌荒れにグルテンは影響している!? そのメカニズムは?

ニキビ、吹き出物、肌荒れは、ちょっとした体調の変化で起きるので、ふだんから食べものや睡眠に気を使っている人も多いでしょう。小麦などに含まれるグルテンは、さまざまな影響を及ぼしますが、その中に、皮膚症状があります。また、グルテンによる下痢・便秘、慢性疲労、リーキーガットは、肌トラブルの発生に、間接的に影響しています。

ニキビ、吹き出物、肌荒れが起きるしくみ

最初に、ニキビ、吹き出物、肌荒れが起きるしくみを整理したので、ご覧ください。いろいろな要因が関わっていることがおわかりいただけるかと思います。実際には、この中のいくつかが原因となって、肌トラブルが起きていると考えられます。

要因の中には思春期、加齢、生理前など、自分の力では何ともできないものもありますが、例えば思春期で皮脂の分泌が増えるのなら、糖分・脂質の多い食事や辛い食べものはできるだけ控えるようにするとか、こまめに洗顔をするとか、対策は立てられます。

下の図の中で、赤丸で囲ったところがあります。これが小麦などに含まれるグルテンが関わっている可能性がある部分です。意外と少ないですね。

 

 

 

 

グルテンの影響で最も深刻なのは、小腸粘膜の損傷です。これには2種類あり、リーキーガットといって、腸のバリア機能が損なわれるものと、セリアック病といって小腸の絨毛細胞が破壊されるものがあります。リーキーガットは比較的多くの人に見られるようで、腸のバリア機能が損なわれた結果、ふだんは体内に入らない有害な物質(毒素)が体内に入り、皮膚で炎症が起きます。リーキーガットについては、こちらをご覧ください。

 

 

関連記事

リーキーガットとは、腸のバリア機能が損なわれた結果、本来なら入らない物質が体内に入る状態になることです。腸のバリア機能の一つが、腸管上皮細胞のすき間を閉じている細胞間接着装置です。ゾヌリンというたんぱく質が作用すると、このすき間が緩んで、腸[…]

 

 

一方のセリアック病は 100 人に 1 人くらいの割合で見られ、自分の免疫系が誤って小腸の絨毛細胞を破壊してしまう病気です。小腸の細胞が破壊されるので、栄養吸収障害が起きます。この病気で起きる皮膚症状は、比較的症状が重いので、すでに医療機関を受診していることが多いと思います。

このほかにグルテンの影響で、過食(食べ過ぎ)になることがあります。これは小麦中毒などともいわれていますが、医学的には証明されていません。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

関連記事

グルテンフリーのダイエット効果については、効果があるという意見と、効果がないという意見があります。そこで最新の医学論文に基づいて、科学的に検証してみました。グルテンフリーにすることで、痩せる可能性は高いが、痩せること(ダイエット)を目的にグ[…]

 

 

ホルモンバランスの乱れは、グルテンが原因で副腎疲労が起こることによるものです。副腎疲労についても、医学的に証明されていませんが、さまざまな記事で紹介されているため、載せておきました。

ニキビと吹き出物

人間の皮膚では、内部から皮脂が分泌されていますが、何らかの原因で分泌される皮脂の量が増えることがあります。そうすると、皮脂が分泌される毛穴が詰まってしまうことがあります。この状態が白ニキビ黒ニキビといわれるもので、正式には面ぽうまたはコメドといいます。

白ニキビは毛穴が詰まっているだけなので、痛みやかゆみはありません。白ニキビを悪化させないためには、洗顔で皮膚を清潔に保つことが重要です。なお白ニキビを治療するためには、毛穴をふさいでいる角質をはがすお薬が使われます。

白ニキビを放置していると、皮脂をエサにする細菌が異常繁殖して、皮膚で炎症反応が起きて、赤くなったり、かゆみを感じたりします。これが吹き出物で、赤ニキビ、黄ニキビといわれることもあります。

皮膚にはもともとアクネ菌という菌がいます。アクネ菌は肌のpHを弱酸性に維持して、ほかの菌が繁殖しないようにしてます。私たちにとって必要な菌なんですね。でもアクネ菌は、皮脂がたくさんあると、皮脂をエサにしてこれを分解し、遊離脂肪酸という物質を作ることがあります。遊離脂肪酸が毛穴を刺激し、発赤やかゆみの原因になるのです。吹き出物を治すには、菌の増殖を抑えるとともに、炎症反応を抑えるお薬が使われます。

 

 

肌荒れ

肌荒れは、皮膚が乾燥する、皮膚のターンオーバーの乱れで古くなった角質層が蓄積する、皮膚から毒素が分泌される、などが原因で起きます。

皮膚の乾燥は、こまめなスキンケアで、乾燥を防ぐようにするしかありません。ターンオーバーの乱れについても、ホルモンバランスの乱れにつながる睡眠不足、ストレス、食事リズムの乱れを避けるように心がけるしかありません。

これらは結構手間がかかる作業です。そのため飲んで効く健康食品が数多く出回っていますが、健康食品に頼らず、地道に対策をすることをお勧めします。健康食品はあくまでも食品です。効果があるのなら、医薬品として売られているはずです。

もう一つの要因である毒素については、次のような対応ができます。まず化学物質が多く含まれる食べものは食べなようにしてください。化学物質というのは、食品添加物残留農薬です。これらは国際機関や国で、安全性を確認したうえで承認されたものですが、その安全性というのは、急性毒性、遺伝毒性、発がん性などで、肌荒れが起きるかまでは、調べていません

もともと自然界に存在していなかった化学物質がたまに体内に入っても、腸のバリア機能や免疫機能で、排除してくれますが、日常的に摂り続けると、問題が起きても不思議ではありません。加工食品でよく使われている食品添加物や、輸入穀物で使われる農薬には、注意した方がよいです。またさきほど説明した腸のバリア機能の損傷であるリーキーガットを起こさないよう、気を付けてください。

肌荒れと一口に言っても、人によって症状が全く違います。またニキビや吹き出物のように、症状がはっきりしていれば、お薬で治療することもできるのですが、肌荒れの症状も人によって異なるので、対応が難しいのです。その結果、一部で、効果の怪しい健康食品、医薬部外品、化粧品も出回っているようです。ただ、費用対効果で考えると、食べものや生活習慣を見直した方がメリットが大きいのではないでしょうか。

 

 

まとめ

ニキビ、吹き出物、肌荒れが起きる要因はたくさんあり、年齢、体質、生活環境など、その人の状況によって、関わってる要因は異なります。どの可能性が高いか考えてみてください。そしてそれを取り除いてみて、変化があるかどうか、ご自身で確認してみてください。

お薬の服用やスキンケアももちろん大切ですが、根本的な原因にも目を向けてほしいのです。食べ過ぎ、睡眠不足、ストレスや、辛い食べ物、糖分・脂質の多い食事は、ある程度避けることができるはずです。またこのサイトで取り上げている小腸粘膜の損傷も、グルテンに弱い体質の方がグルテンを摂らないことによって、防ぐことができます

もしお肌の状態に変化が見られたら、お薬の服用やスキンケアの方法も変えてください。そのとき、自分の判断だけで変えず、必ず専門家に相談してくださいね。

グルテンフリー食品まとめ

小麦粉を置き換えるには、グルテンの役割をカバーするための知識や技術が必要です。メーカーさんの工夫によって製造されている、おすすめのグルテンフリー食材をカテゴリー別にご紹介!